明治維新以来、日本人はイギリス、フランス、ドイツを手本にして富国強兵を進めて来ました。留学するときもこの3国へ行く人が多く、少し後になってアメリカやロシアへ留学する人も出て来ました。日本人はこれらの強国のことは尊敬し、よく研究し、その文明や軍備を導入して来ました。
ところが世界にはもっと多くの、そして日本人の理解を超える国々が存在しているのです。色々な国々の歴史を少し見ると、「幸運な国々」と「悲劇的な国々」が存在することが分かります。生まれつき幸運な人。そしてどんなに努力しても不幸が次から次へとやって来る人。この世の不条理です。国々もこの世の不条理を逃れることが出来ません。ハンガリーが悲劇的な国と思うのは私の勝手な思い込みかも知れません。でも以下の、文章をお読みください。Wikipediaのハンガリーの項目にある文章です。
===========ハンガリーの共産革命========
オーストリア=ハンガリー二重帝国の体制下、資本主義経済が発展し、ナショナリズムが高揚したが、第一次世界大戦で敗戦国となり、オーストリアと分離された。1918年にハンガリー初の共和制国家であるハンガリー民主共和国が成立し、社会民主党系のカーロイ・ミハーイ(en)が初代大統領及び首相を務める。さらに共産党との連立によってハンガリー革命が勃発しハンガリー・ソビエト共和国と化したが、ルーマニアの介入で打倒される(ハンガリー・ルーマニア戦争)。1920年に結ばれたトリアノン条約により、ハンガリーはトランシルヴァニアなど二重帝国時代の王国領のうち、面積で72%、人口で64%を失い、ハンガリー人の全人口の半数ほどがハンガリーの国外に取り残された。
==============================
ソ連の共産政権崩壊とともにこの国も一気に資本主義国家になります。国家財産の略奪が混乱を極め、国民生活が闇の中を彷徨うような状態になります。コネと賄賂が民族文化です。そのような国に、盛田常夫さんが個性豊かに悠々と住みこんでいるのです。ネットの上で知り合った私の数少ない若い友人です。何故、彼はハンガリーに住んでいるのでしょうか?私の好奇心がムラムラとします。生まれ故郷を離れ悲劇的な国に住む。東京で一度会い、その後何度かメールの交換で聞き出そうとしましたが、その理由は未だに分かりません。ハンガリーの社会・経済体制の変革に関する学術書を最近出版されました。そして最近、彼が主宰して出版している「ドナウの四季」という季刊誌を郵送してくれました。この雑誌は電子化されていて皆様もお読み頂けます。http://www.danube4seasons.com/quarterly_magazine/d4s_2010-05.pdf です。
盛田さんは私の疑問に対して詳しい個人的な事情を綿々と書いてくれました。明快な文章です。個人的な事情はよく分かりました。しかし「何故、ハンガリーに住んでいますか?」という私の疑問は晴れません。しかし、「ドナウの四季」を読むとハンガリーについて、色々な日本人が随筆を書いています。少し住んでみるとハンガリーが嫌になって逃げ出す日本人と、その魔力のような魅力に取りつかれてしまう日本人の2種類に分かれる、という文章を発見しました。
そこで私は仮説を立てました。「悲劇的な歴史を背負った国の人々は個人的に非常に魅力的です。誰でもその魅力に引き込まれればつい住みこんでしまいます」。
単純なパック旅行ではハンガリーの人々の深い苦悩と、そこから生まれる美しい人生の過ごし方は見えません。盛田さんのようにハンガリー語を駆使して現地語で本を出したり、テレビに出たりしなと理解出来ない境地です。このような個性豊かな人生を、独創的に作り上げて、外国で生きている日本人が最近増えています。
私はそのような独創的な人生を外国で過ごして居る日本人を誇りに思っています。それは日本の文化的な財産なのです。国力とは経済力や軍備の優劣だけではありません。外国で尊敬される日本人が何万人居るか?これが日本の安定を支えているのです。
さて私の仮説を盛田さんへ送りました。ハンガリーの魅力についてはノーコメントでした。気恥ずかしく言えないのだと勝手に理解しています。「ドナウの四季」はもう一つの目的があるそうです。日本人が誇り高く、現地の政治、経済界へ積極的に働き掛けるために出版しているそうです。そうです盛田常夫さんも誇り高い男なのです。盛田常夫を検索すると彼の内容豊かなブログや出版物の案内が出て来ます。上に書いた私の想像や仮説が正しいか否かをお考え頂ければ嬉しく思います。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。藤山杜人
尚、上と下にある写真はハンガリーを流れるドナウ河のブタペスト近辺の風景です。出典は、Wikipedeaのハンガリーの項目にあった写真です。