老人になる。仕事が無くなる。体力が少しずつ無くなる。しかし少しでも若さを保ちたい。そういう人々が多いと思います。
今回は若さを保つための第5番目の秘訣を書いて見ます。それは億劫がらずに何にでも好奇心を持って少し体験をすることです。そして体験したことを考えることです。
体験はあまり長時間すると体力の無い高齢者には良くない効果が出るので、あくまでも少しにします。
「こんなものには私は興味ありません」、「あんな人々は別世界の人です」、「関心がありませんね」、「私の趣味は読書と音楽を聞くことです」。 これでは老化が防げません。
今まで附き合ったことのない人々と話合ってみます。体験したことのない趣味を少し体験してみます。気軽に出歩いて色々なことに飛びこんでみます。そんな生活スタイルをつくると、感性をいつまでも若々しく保てます。そして体験したことを考えて見ます。思考力が柔軟になります。異なる意見の持ち主へ寛容な態度で接することが出来ます。気軽に出歩くので足腰の訓練にもなります。
実例を一つ。横浜に係留してある帆船日本丸は面白いという噂を聞きます。「前世紀の遺物のような船でしょう。興味がありません」、「あんな物に横浜市がお金を使うのは不愉快千万です」と、思ったら老化現象のはじまりです。
一昨年の4月に私は2時間かけて、3回も訪問しました。この日本丸の大西典一船長さんと会い、詳しい話を聴いてきました。その詳細は2008年4月に4編の報告書として、このブログへ掲載しました。船の上で一生を過ごす職業というものに興味を持ち根掘り葉掘り聞きました。
船の上の職業は、意外にも普通の会社勤務と同じです。組織に縛られ仕事をする辛さ、人間関係の難しさは同じです。最後に大西船長が言いました。そして組織に忠実に働くことの重要さを教えてくれました。彼は大会社で働いていたのです。昔よく大きな鉄鋼会社で働いていた友人と同じようなことを言っていました。
次に大型帆船の構造を教えて下さいとお願いしました。「帆船のことは、その構造をいくら説明しても分かってくれません。体験すれば簡単に理解できます」、と答えて船内を隅々までア案内してくれました。
高く聳える複雑な4本のマストへ29枚の帆を全て上げる日には再度見学に行きました。甲板をヤシの実で少しだで磨いてみます。真鍮の舵輪を布で少しだけピカピカに磨いてみます。船底でほつれたロープを編みなおしてます。これらはすべて無料で体験出来るプログラムが広く開放されているのです。
船底で古い帆やロープに囲まれて大西船長の話を聞いていると大型帆船の実態がヒシヒシと理解できます。
昨年も同じような体験をしました。遠方の房総半島の保田漁港まで旅をして、大型ヨット、Bambinoの古いニス剥しを体験してきました。古いニスをサンドペーパーでこすって落とすのです。下の写真は二ス剥がしをしている様子の写真です。
始めの1時間はただ闇雲に手を左右に動かします。次の1時間目になると古いニスの層が見えるようになります。3時間目になると爽やかな潮風に吹かれながら労働をする歓びが体中に湧いてきます。夜は船長のHootaさんとチーク材で内装した重厚なキャビンでビールを飲みます。
翌朝もニス落としの作業を1時間半だけしました。ニス剥がしに時間をかけると、この船を作った北欧人の船にたいする愛情を感じます。その愛情に包まれているようで心地良い時間が流れて行きます。北欧の文化を少し体験しているようです。昔、スウェーデンに滞在していた頃につき合った人々のことを思い出します。気持が若くなりました。フッと気がついたら帰路につく時間になっていました。老化して硬くなった体を動かして、ゆっくり船から岸壁へ這いあがりました。
この船のHoota船長はネットの上で知り合った方です。ネットの上で友人を作る体験もしました。若い友人は広い人生を歩いている方でした。またお会いすることに挑戦します。このように気軽に他人と話をし、少しだけ体験します。そして体験したことを通じていろいろな事を考えて見るのです。体の老化はあまり防げませんが、精神を若々しく保つことは簡単なことです。(終わり)
今日も皆様のご健康と平和をお祈りします。 藤山杜人