戦後の経済復興とそれに続く高度成長期は日本中が忙しい雰囲気で熱気に包まれていました。しかし常に生活の便利さの追求や経済発達のみに関心が集中していて地方文化や新しい地域文化の創造が忘れがちでした。しかし1990年のバブル経済崩壊後は人々の考えも変わって来ました。地方の時代とも言い、地域の文化活動に人々の関心が集まるようになりました。地方色豊かな伝統的な行事も熱心に行われるようになったのです。今回から数回にわたって日本の地方に残る伝統行事や、地域に独特な文化をご紹介する記事を書いて行きたいと思います。
例えば下の写真は東京の深大寺のだるま市の様子です。集まってくる人々に何か古い日本人の面影が漂っています。江戸時代の人間の表情はこういうものだったと想像させてくれます。
これも深大寺の周辺に張り付いている地域文化と思っています。だるま市は伝統的なイベントで、日本各地にあります。特にダルマを買わない人々もこのような昔の雰囲気を楽しむ為に集まって来るのです。群がってゆっくり歩いている人々もこの伝統行事の主役の一部です。何か物想いにふけって静かに歩いています。どうしても家族の健康や幸せを考えながら歩いているので、楽しそうです。3月の3日と4日が過ぎるとこの地域文化も消えてしまいます。しかし一度でも見た人は忘れられない光景です。江戸時代には10日市とか4日市といってその日にかぎって市の立つ所が全国にあったと言います。それらの市では色々な品物が売って居たのでしょうが、人々の雰囲気は「だるま市」の人々と共通なものと想像出来ます。昔の日本人に会えたような気分です。心豊かになります。
もう一つ地域文化の例を書きます。霞ケ浦の帆引き漁という伝統漁法です。長い和船の舳先から船尾まで大きな四角い帆を上げて、巨大な網を引いて白魚を取るのです。その姿がゆったりとして永遠の平和を暗示しているようです。下に写真を示します。
これを見てから、沖の港へ上がり、白魚の刺身を食するときの豊かな気分は素晴らしいものです。この伝統漁法は霞ケ浦の沿岸に住んでいる人々が保存し、多くの人々に見せ、幸せな気分になってもらうために行っているのです。この地域文化を誇りにしているのです。その心意気を思うと、こちらまで誇りに思います。是非、ご覧になってお楽しみ頂きたいと思います。
私ごとですが、仙台市で生まれ、育ったので、「仙台七夕まつり」は昔から日本一風流な祭りと信じていました。ところが老年になってから青森ねぶたを見て度肝を抜かれました。風流というよりは幻想的、原始的な巨大人形が、ゆらゆら揺れながら動いていきます。人形の内側に発電機を積んでいて数多くの電灯で内側から照らすのです。人形の不気味な絵柄が電灯で浮き上がり、不思議な揺れ方と相まって神秘的な感動を受けます。まさしく北の果ての奥州の独特な地方の文化です。下の写真は一例です。人形の下に写っている多くの人間の大きさと比較すると人形の巨大さが分かると思います。
(写真の出典はWikipediaの「青森ねぶた」の項目の写真です)
このような地方や地域の特徴ある行事や伝統文化が全国にあります。それを大切にすると人生が楽しくなります。心が豊かになります。幸福感につつまれます。これからも地域独特の行事や伝統文化がますます大切にされますように祈っています。
今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。藤山杜人