この写真をご覧下さい。カトマンズの路上で農作物を売っている兄弟です。ニンニク、ショウガ、トウガラシ、ナス、ダイコン、それにカリフラワーなどがきちんと盛ってあります。親が作った野菜を道行く人々へ売るのが楽しいようです。2人の子供の笑顔が輝いています。
この写真を昨年撮った ひかるのさんが昨年の末にガンになりました。カトマンズとバンコックの両方に家があり26年も住んでいました。アジアの手紡ぎ、手織り布に魅せられて棲みついてしまったのです。
肺ガンのように胸水が溜まり、呼吸が苦しくなります。日本で治療を受ける決心をします。苦しい呼吸です。足を引きずるようにして成田へ帰ってきました。今年の1月から3月まで東京の大きな病院で腺ガンと診断され抗癌剤の治療を受けました。抗癌剤の治療は副作用がひどく、過酷な治療です。
しかし抗癌剤は効き目があります。ガンがほとんど無くなります。兎に角、飛行機でカトマンズとバンコックへ再び旅立つことが出来るくらい回復しました。あちらでの生活に幕を引くために成田を出たのは3月8日でした。バンコックに一週間居て自宅の整理をします。そして15日にカトマンズへ飛びます。
カトマンズでは15年間住んでいた部屋の大家さん一家が温かく迎えてくれます。一週間の滞在中、食事の世話をすべてしてくれました。抗癌剤で体力の衰えた彼には自炊をする気力がありません。カトマンズの町々を、もう二度と見ることも無いと思い、懐かしみながら散策して日を過ごします。惜別の散歩です。15年間、印象深かった瞬間の風景が脳裏に浮かんでは消えて行きます。上の写真を撮ったときのことも思い出したに違いありません。大家さん一家も主人がガンで亡くなり息子が肝炎になり薬代で火の車です。しかし何時も笑顔の絶えない一家です。
カトマンズの生活に幕を引き、バンコックへ2、3日前に帰ってきますた。
ひかるのさんは独身ですが息子が一人います。ストリートチルドレンだった少年を引き取り、育て上げたのです。大人になって働いています。バンコックでは病身の ひかるのさんの世話をあれこれしてくれます。ひかるのさんにとっては唯一人の家族です。その息子とも間もなく別れ、東京へ帰って来ます。し残した抗癌剤治療のためもう一度入院するためです。
カトマンズとバンコックへの惜別の旅については ひかるのさんが詳しく書いて、公表しています。http://blogs.yahoo.co.jp/hikaruno_season に御座います。彼が心身ともに元気だったころのブログは、http://asiancloth.blog69.fc2.com/ に御座います。合わせてご覧下さい。何故かしみじみとした静かな感動を感じられると思います。
ひかるのさんは現在、体力が衰えていますが、抗癌剤は非常に進歩しています。必ずや全快し、再び元気にバンコックとカトマンズへ旅することが出来ると私は信じています。今日は ひかるのさんの全快を心から祈って終りといたします。(終り)