昨日掲載した図面です。この図では、炉心の燃料棒のの上に「制御棒」があります。この制御棒を瞬間的に落下させる装置がついています。核反応を停める為に炭素やボロンで出来た減速材の棒を即刻差し入れます。
もう一度書きますと、緊急事態が起きたときは高速度で減速材の棒を差し入れる装置がついています。これを緊急停止装置、あるいは緊急スクラム装置といいます。
この装置は停電でも作動するように水圧など機械的な力も利用して挿入出来るようになっています。そしてそれも正常に作動しない場合は中性子を吸収する性質をもつホウ酸を大量に注入して原子炉を緊急停止させる装置も備えている筈です。
私が原子力発電所の情報隠蔽体質を批判する最大の理由は原子力発電所は福島原発1号機から4号機に設置してあった緊急スクラム装置が正常に作動したのか、しなかったのかの情報を一切公表していない事です。それは地震発生と同時に作動しますから地震直後に発表できる簡単な情報です。
それが無いのが不思議でなりません。正常に作動しなかったようです。そうでなかったら炉心の温度が上昇し続け、建屋爆発は起きなかったはずです。と、書いてから今朝の新聞を見たら、全ての原子炉で緊急スクラムは成功したと書いてありました。本当なら、それを何故即刻公表しなかったのでしょう!!
私が原子力発電所を情報隠蔽体質と批判する第二の理由は原子炉の炉心の温度の変化を公表しなかった事です。それさえ公表されていれば世の中の技術者は次に何が起きるか簡単に想像出来るのです。ところがその情報は原子力分野の技術者にしか分からないから素人へ教えるべきでないと考えます。しかし放射能の被害を受けるのは皆素人なのです。
私が原子力発電所を情報隠蔽体質と批判する第三の理由は原子炉の温度、減速材棒の位置、冷却水の循環状況などの測定装置の測定結果を公開していないことです。測定装置に巨大地震で異常が起きるのは仕方の無い事です。しかし異常を公表すると人心をかき乱すと、不要な政治的配慮をして公表しないのです。
そして最後に東北地方にある全ての原子力発電所の正確な状況をすぐに公開しなかった事です。
その為、間もなく東京で始まる計画停電について予想が出来ず、病院などで準備の遅れで、生命の危険にさられる人が出るかも知れないのです。
原子力発電に関する情報公開は全て経済産業省大臣の許可が必要な不文律が存在しているようです。この悪弊を破って、原子力発電所の現場の技術者が即刻、マスコミへ発表して良いように改善すべきです。(続く)