(1)最初の大地震で緊急スクラム装置が正常に作動し原子炉を停止した。
緊急停止の後も多数の制御棒が燃料棒の間に存在し、中性子を遮蔽して、それ以上の核分裂反応を停めています。制御棒そのものは発熱しない上、燃料棒から離れているためにその後も損傷していない様子です。
(2)地震発生後しばらくして襲って来た大津波が冷却系統と緊急発電装置を壊滅した。
女川原発は津波対策を充分にしていたお陰で損害は軽微でした。一方福島原発は津波対策がして居なかったのです。三陸は津波があるが仙台平野以南には津波が無いという常識が支配的だったようです。
(3)冷却系統の壊滅がその後の危機的現象へ繋がるとはすぐには理解されなかった。
核連鎖反応が止まっているので、後は余熱の自然冷却で全ては終わると多くの人々が想像していました。しかし核燃料棒の中の放射性元素の自然崩壊熱が巨大なので、冷却を続けなければ炉心溶融へと進むのです。炉心溶融の前に燃料棒のジルカロイという合金と水蒸気が反応して水素が多量に発生して炉心から漏れ出して来たのです。反応式を書けば誰でも納得します:
2H2O (水蒸気)+Zr (金属ジルコニューム) = ZrO2(固形酸化物) +2H2(水素ガス)
この化学反応で出来た水素ガスが原子炉の建屋内に充満して何かの原因で引火して大爆発をしたのです。これによって1号炉と3号炉の建屋が無くなってしまいました。
(4)2号炉の原子炉格納容器の底部にあるサプレッションプールの配管部分付近が爆発し小さな割れも生じました。
これは具体的な実例ですが、原子炉格納容器は完璧な気密性があるのでは無く、炉心で出来た水素ガスをその外側の建屋へ放出し続けていたのです。それが原因で水素爆発が続けて起きてしまいました。
(5)水素爆発とともにかなりの放射性物質が空中へ放出されたのです。
爆発は水素ガスによるものですが、その水素ガスは炉心で発生したものです。従ってかなりの量のセイシュームやヨウソなどの放射性物質を随伴していたのです。
ですから炉心を冷却するための方策を模索していました。ところが、違う性質の水素爆発が起きたのです。
(6)4号炉で核燃料プールに沈めていた核燃料棒が原因でいきなり水素爆発をしたのです。
これには原子炉の専門家以外の人は吃驚してしまいました。
その結果、停止中の4号炉、5号炉、6号炉の貯蔵プールの冷却も真剣に考えられるようになりました。
(7)稼働中だった3号炉の貯蔵プールからも水蒸気の白煙があがります。
この現象で原発工場の全ての貯蔵プールの水温の上昇へ注意が向けられるようになりました。
現在、自衛隊と消防庁の特殊放水車が注水に成功しているので福島原発の冷却は成功すると信じています。その上、送電線の復旧も進んでいるので冷却系統の復旧も数日中には成功しすると思います。
そうすれな福島原発の危機もやがては収束すると思います。昨日、今日の特殊消防車の活躍が明るい見通しを示してくれたので、以上のような整理をして見ました。間違いをご指摘下さいますれば感謝申し上げます。(終り)