後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

国民総幸福度に関する研究をご紹介いたします

2012年03月01日 | 日記・エッセイ・コラム

この所、ブータンの「国民総幸福度」について考えています。定量的に評価が不可能な概念です。実験で証明出来る概念でもありません。

このように数式できちんと表現出来ない概念は人それぞれの考え方でどうにでもなるのです。

しかし幸福度を国家目標にしている国が存在するとは驚きです。経済成長のみを国家目標にしてきた戦後の日本へ何か大きな問題を提起しているようです。

重要な概念と思い、いろいろ調べていましたら、早稲田大学の宮下史明先生が実に明快な研究論文を書いていることを発見しました。それもブータンが流行になる以前の2009年9月に発表された論文なのです。その先駆的な思考に感心します。

早稲田商学420・421合併号の39ページから74ページにわたる本格的な研究論文です。研究論文ですが素人にも分かり易く書いてあります。その内容に感心しました。宮下史明先生へ敬意を表します。

皆様にも必ずやご参考になると思いますので、以下に極く一部の抜粋をお送りします。URLをクリックすると全文が読めます。是非、全文をお読み頂くように祈っています。

=======宮下史明先生の研究論文============

GNH

(国民総幸福量)の概念とブータン王国の将来

── GNP からGNH へ ──宮 下 史 明

早稲田商学第420421 合併号39ページから74ページ2 0 0 9 9

http://www.waseda.jp/w-com/quotient/publications/pdf/wcom420-421_02.pdf

以下に抜粋だけを示します・・・

まだ電気やガス,水道も無く,薪で

料理をし,ランプ生活をしている家が大部分である。電気の普及率も30%位と

低いので,家庭電化製品の普及もこれからである。しかし国民の間の貧富の差

は小さい。3世代の大家族で,家族全員で力を合わせて,村人と共に作業をし,

欲望もまだ少なく,仏教を熱心に信じて生活している今日の姿の方が真の幸せ

かもしれない。

 GNH には4つの柱がある。日本語訳は人によって若干異なるが,(1)持続

可能で公平な社会経済開発,(2)自然環境の保護,(3)有形,無形文化財の

保護,(4)良い政治の4つだ。この考え方はチベット仏教の考え方に根ざし

ているという。貨幣的な尺度とは全く異なる。この考えに賛同する人も多い反

面,勿論反対意見もある。その最大のものは,どうやってこれを数値化して測

定し,国際比較できるのかという点だ。これは確かに困難な作業だ。ブータン

ではこのGNH を計測する指標として,(1)基礎的な生活,(2)文化多様性,

(3)精神衛生,(4)健康,(5)教育,(6)時間の使い方,(7)自然環境,

(8)コミュニティーの活力,(9)良い政治の9つの事項を考えているという。

これも数値化することが困難な項目が多い。しかしこのようなGNH の考え方

で国際比較すると,ブータンの国際的地位は非常に高くなると言う。それは

ブータン人の大部分は,自分達は現在幸福だと考えていることから分かる。

 GNH の考えは後述する国家開発5ヵ年計画の中に様々な表現で登場して来

る。例えば「有形,無形文化財の保護」では,第3次5ヵ年計画(1971

1976

)の中に「歴史的建造物の保護」が取り上げられている。また第8次5ヵ

年計画では,「文化と伝統的価値観の保護と促進」ともっと明確に述べられて

いる。時代と共に経済的発展を推進する考えは後退する一方,環境保護,伝統

的価値観の保護と促進を全面に押し出している。また人的資源の開発,国内の

地域間格差の解消など国民の幸福度を高める考えが見られる?。

・・・・以下省略・・・・・

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ブータン王国、ネパール共和国、チベット、それぞれの幸福度(4)ブータンは本当に幸せそうな国

2012年03月01日 | 日記・エッセイ・コラム

このシリーズ記事の冒頭でブータンの幸福度が世界一という言葉に疑問を呈しました。そしてその後いろいろ調べて行きました。その結果、世界一か否かはさだかではありませんが、とても幸せな国という感じがします。少なくともチベット自治区とネパールに比較すると幸福度が一番高いと断言しても大きな間違いがありません。

チベット仏教を篤く信仰し、貧しいながら笑顔の溢れている国です。素朴で英明な国王が国民を深く愛し、自国の文化を誇りにしています。外国人観光客を制限し、文化がスポイルされることを防いでいます。環境保護やトラやヒョウの棲息調査と保護に力を入れていますい。

こんな国が存在しているとは奇跡のようです。中国に領有される前のチベットも同じような国だったに違いありません。日本の明治維新前の社会もこのようなものだったのでしょう。

これから3回にわたってブータンの写真を見て、皆様とご一緒にいろいろと考えて行くつもりです。

今日はある31歳の日本人男性が昨年旅したときのスナップ写真です。明日はブータン政府発表の写真集を見て行きます。そして第3回目はhikarunoさんのブログからブータンの手織り布の写真をご紹介いたします。

以下の写真の出典は、「昨年行ったブータンの写真」http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3156893.html です。

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伝統的な建物の前に桃の花が咲いています。ブータンの人々の静かで、「足る」を知る心情を表しているような写真なので初めにご紹介しました。

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町の大きな交差点です。中央で人間が手信号で交通整理をしています。道路はチリひとつ落ちていません。清潔です。ご注目頂きたいのは歩道です。汚い露店がありません。ストリートチルドレンも見えません。清潔な歩道のように感じられます。

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村の市場です。売っている農民が楽しげに自分で作った農産物を売っています。明るい陽射しの下で、雰囲気がのどかです。民族衣装とトレパン姿が混じっているのがごく自然な感じです。伝統的な衣装を強制していないようです。学校に行く時やお寺に行く時は全員民族衣装を自発的に着ているのでしょう。

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村の大通りの様子です。ご注目頂きたい点は駐車禁止の所(NO Parking と書いてある部分)には車が停まっていません。右側には車やバイクがキチンと駐車しています。田舎の通りなのにゴミが皆無なのです。ブータンの人々の清潔感が伺えるようです。

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衣料品店だけが集まった場所です。伝統的な服も売っていますがジーパンのように見えるズボンを履いている人も見えます。子供の手をとって歩いている人の気持ちがのんびりしているようです。セカセカしていないのです。売り子も無理に買うようにと大声を上げていないようです。お客の方を向いていません。

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市場の外の駐車場の風景です。遠方の村落から買い物に来た車がビッシリを縦に並んで駐車してあります。狭い駐車場に数多くの車を駐車しているのです。路上駐車は皆無です。手前の2台は買った荷物を積み込んだり、帰る人を乗せるために停車しているのです。

このように狭い場所にビッシリ駐車するためには車のカギを駐車場の係員に預けれなければなりません。信用ということが自然に流れている社会なのです。

写真はまだまだたくさんあります。http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3156893.htmlをご覧下さい。

以上のように旅人が何気なく撮った写真には人々の本当の気持ちが写ると思います。旅行会社発表の観光写真と全然違います。政府発表の宣伝臭の感じられる写真とも決定的に違います。こういう写真群を見て、私はブータンは幸せな国だと思ったのです。

皆様はどのようにお感じになられたでしょうか?

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

後藤和弘(藤山杜人)