東日本大震災は敗戦時の悲惨さを思い出させる大きな悲劇でした。
直接被害を受けた人々はもとより、すべての日本人にとって衝撃的な大天災でした。
被災地から遠く離れて住んでいる私も、この一年は心が混乱しています。今、一年が過ぎ去ろうとして、やっと少しずつ心の整理がついて来ました。
この辺で、この大震災のことを振り返って、感じたこと、考えたこと、感動したこと、などなどを書き残しておきたいと思います。
人それぞれ感じ方は違うと思います。私のように戦前生まれで戦後の殺伐とした時代に育った者には人間不信の傾向が強くあります。
家を出たら7人の敵が居る。世の中には悪い人が多いので注意せよ。そのような台詞を散々聞かされて育ちました。
新聞には毎日のように復員兵が強盗をしたという記事が出ています。青酸カリで銀行員を殺して金を奪った帝銀事件も起きました。
ソ連も中国も日本を敵視し、厳しい冷戦が続いていました。韓国は韓国で日本の朝鮮領有を怨んで多額の賠償金を要求していました。
全ての他人は敵、全ての外国は敵、頼れるのは身内だけ、という言葉に囲まれて育ちました。
大人になってからは、なかには良い人もいる、親身になって助けてくれる人も居るということが分かって来たのです。しかし少年の頃にさんざん聞かされた言葉は忘られません。
一年前の大震災以来、私は人間の善意に感動し、人間の素晴らしさを信じるように変わりました。
その原因になったことは数多いのです。その原因を整理してこの連載記事を書いて行きたいと思います。
今日はサルコジ大統領、温家宝首相、李明博大統領の被災地訪問が私を勇気づけ、感動を与えたことを書きます。
原発事故の直後にサルコジ大統領が日本に来ました。原子力発電所を世界中へ輸出しているフランスなので、原発の安全性を宣伝に来たのかと、半分斜に構えてこのニュースを見ていました。
もちろん、その目的はあったのでしょうが、彼は被災地の東北地方を訪問して被害者をなぐさめたのです。犠牲者の鎮魂を祈ったのです。そして原発の汚染水の処理装置を提供したのです。
温家宝首相は優しい性格の人です。優しすぎて失脚した胡躍邦主席の弟子だったのです。私はもともと温首相を尊敬していました。以前、中国の国内で起きた大きな鉄道事故の時、炎天下の河原で被害者の抗議を根気よく聞いていました。
今回も東北地方を訪れて被害者を慰め、犠牲者の冥福を祈る目的だけで日本を訪問したのです。
李明博大統領も大震災でショックを受けている日本人を慰める目的だけで被災地を訪問したのです。韓国は今や日本が最も信頼出来る友好国です。日韓の芸能界の結びつきが、草の根的な交流を強くしています。その国の大統領が来てくれたのです。感謝します。嬉しいです。
勿論、偉い人だけでなく世界中から人々がボランティア活動に来てくれました。その事はいずれ続編で書きます。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)