これは私の体験にもとづく結論です。
どんな趣味を始めようが人それぞれ自由にして良いのです。しかし自分の才能がその趣味に合っていなければ長続きしません。
今日はヴァイオリンとヨットの趣味をして良い人、悪い人の判断の仕方を簡略に書いてみようと思います。
結論を先に書けば、私はヴァイオリンを習い始めて1年で放棄しました。失敗の経験です。
一方ヨットのほうは49歳で初めて75歳まで26年間楽しみました。趣味として成功したのです。
何故、長続きしたのでしょうか?風と帆と波の音と動きが私を魅了してしまったのです。それを魅力と感じる本能的な能力が私にあったのです。それは不思議な才能です。
さてヴァイオリンから始めましょう。下に練習用のヴァオリンと弦を押さえている左手の写真を示します。
私は叔父の影響で、大学に入学した時にヴァイオリンを習い始めました。最初はホーマンの教則本を使っていましたが、毎週一回先生の自宅に通って習うようにってからは鈴木ヴァイオリン教則本を使いました。
ヴァイオリンの難しさは上の右の写真のように、左手の指先で弦を固く押さえ、音程をコントロールしなければならないことにあります。弦を張ってある竿には印も区切りもついていません。あくまでも自分の指先の位置だけで正確な音程を出す必要があるのです。
鈴木ヴァイオリン教則本の1巻を終えて、2巻、3巻と進んで行くと、この左手そのものの位置を上にあげて行きます。ファーストポジション、セカンドポジション、サードポジションと左手が弦の中央近くへと上げて行くのです。
初心者にとって困難なのは曲の演奏中にファーストポジションからサードポジションへ左手を動かし、また戻る動作を何回もしなければいけない事です。
ポジションを変える度に指の位置が微妙に狂ってしまうのです。それを調整するために指先を少しずらします。そんな事をしていれば演奏は美しく流れません。
ピアノで伴奏している先生が怒ります。ピアノを止めて、音がずれているからもう一度と言います。根気の良い初老の男の先生でしたが、時々顔が怒っています。
絶対音感というもんがあるそうですが、兎に角、音感の悪い人はヴァオリンを趣味にしてはいけません。
ヴィバルディーのヴァイオリン協奏曲のメインテーマのメロディーをサードポジションで弾きながら、私は「こりゃ、駄目だ。止めよう!」と決心しました。
1年間習ったところで、先生にその決心を言ったら「そうね。趣味だから無理しなくとも良いよ」と笑っていました。
ヴァィオリンを挫折したおかげで指先の位置だけで音程を決める楽器の音の美しさが深く解るようになりました。オーケスストラを見ているとつい第二ヴァオイリンやヴィオラの演奏に見とれるようになりました。音程の正確さに感動します。プロですから当然ですが。
結論です。絶対音感があるか、楽譜が読めて音程が正確に出せる人は良いのです。それが出来ない人はヴァイオリンを趣味にしようとしてはいけません。
さてヨットの趣味に向いている人の話に移ります。下に小型ヨットの写真を示します。
とにかく手近かのヨットスクールへ行って、上の写真のようなヨットの帆走技術を習います。
その時、帆が風を掴んで走るときの快感を、本能的に凄い快感と感じることが出来なければヨットは止めたほうが良いのです。長続きしないのです。
その判断は、次の写真のように横転したヨットを自分で起こす経験を、何度かすると簡単につきます。(写真の出典は、「ディンギー写真集」からです。)
小型ヨットはチョット強風が吹くと簡単に横転します。冬なら冷たい海の中へ放り出されます。
めげずに横転したヨットによじ登り一方の舷側へ体重をかけてヨットを起こすのです。
この作業はあくまでも自分一人で行うのです。
そうしなければ無事、港へ帰還出来ないのです。
こんな辛い思いをしても、またまたヨットをしに行こうと思うことが出来なければ駄目です。
その動機は帆走の感激を本能的に体中で感じる能力に依存しています。その能力のある人にとってセーリングは麻薬のような魅力なのです。
多くの人に聞きましたが、そのような本能の無い人が意外に多いのです。
そんな本能を持っている人にとっては、どんな困難があってもヨットを毎週のようにしたくなるのです。それが無ければ、とても週末毎にセーリングに行きません。
趣味として長続きしないのです。私はこの本能的な感性を偶然持っていたのでクルーザーヨットの趣味を26年間続けることが出来ました。
下の写真は私が土浦港の中を帆走している様子を家内が撮った写真です。
クルーザー型のヨットは大型で船底に重いキールがついているので横転しません。
しかし大きいので、その係留や保守・管理は容易ではないのです。
船内に付いているエンジンの調整や軽油の補給など面倒なことが多いのです。
しかし上の写真のように帆に風を受け、傾きながら快走するときの魅力が全ての困難な保守管理を忘れさせるのです。
結論です。ヨットの趣味は小型ヨットのスクールから始めるのが鉄則です。横転し、自分一人で起こす経験を何度かします。それでもセーリングが魅力と感じたならクルーザーの趣味へと進んで行けば良いのです。体力の続くかぎり何十年も、楽しい趣味としてあなたの人生をより豊かにしてくれるでしょう。
上の内容を少し広げるといろいろな趣味にはそれぞれ合致した才能が要求されていると言えるようです。いかがでしょうか?あなたのご意見を頂ければ嬉しく思います。(終わり)