現在、政府はいろいろな形の世論調査をして2030年における原発比率を決めようとしています。その結果は、原発ゼロ支持、47%に増加・・・討論型世論調査 ・・・容認約3割は変わらず という題の記事として先日、このブログに掲載しました。
このような政府のやり方を決定的に批判した理論整然としたご意見を私の友人から頂きました。彼は東海村の元日本原子力研究所で原子力利用の技術を真面目に研究しきた人です。
彼は、今回送ってくれた長文の意見書を、そのままブログへ掲載することは許可してくれませんでした。しかし皆様も深く考えるべき部分が含まれているので、その要約を以下にお送りします。
なお私自身は原発を次第に減らし、最終的にはゼロにするのが良いという考えなので、以下の内容に全面的に賛成しているわけでは無い事をあらかじめ言明しておきます。
尚以下の文章では分かりやすくする為に、私が勝手に挿入した語句や断定的な言葉が多く含まれています。ご了承下さい。
(1)エネルギー政策も出来ていないで原発比率が決める事の不合理性
エネルギー政策は科学、技術、経済、産業、政治など多くの分野の専門家同士の長期にわたる研究と討論で次第に決めるべき性質の政策です。そのことはアメリカのカーター大統領時代に決定した「エネルギー戦略アセスメント」の策定経過を見れば一目瞭然です。
そのような専門家同士の調査、研究、分析、総合をしないで、いきなり素人の感情にしたがって原発比率を決定することは全く合理的ではありません。
(2)種々の化石燃料の値段の変化や太陽電池などの値段の推移を無視した原発比率の決定は大きな間違いであり、愚かな決定です。
オイルシェルの開発や樺太やシベリアの原油価格は年々変わるはずです。
それと同時に再生可能エネルギーのコストも年々変化して行きます。
それによって当然、原発の重要性は相対的に毎年変化して行きます。
このような資本主義経済の原理を全く無視して、原発比率を決めてしまう事はナンセンスであり、絵に描いた餅であります。
実行されない目標値を決めるのは、政治家の人気取り以外の何ものでもありません。
(3)石炭や重油のような化石燃料の枯渇を考慮に入れない原発比率決定は将来致命的な悲劇をもたらす。
上記の(2)に書いた目先の経済原理に左右される経済活動がもたらす悲劇を回避する賢さを持つべきです。はじめから原発を無視するのではなく、その安全性の技術開発に努力すべきではないでしょうか?
(4)炭酸ガス放出が増大する火力発電をこれ以上増加するべきでは無い。
原子力発電は核反応のエネルギーを利用するので原則として炭酸ガスは出ません。この科学的原理は永久不変です。地球温暖化の問題を避ける方法は原発にしかありません。
(5)2030年のGDPが28兆円減少し、毎月の電気代が8000円上っても良いのですか?
読売新聞の7月30日号で、原発比率を0%、15%、20~25%にした3つの場合の経済的な損失を詳細に報告しています。
それによると、例えばゼロにした場合の2030年におけるGDPが28兆円減少し、毎月の電気代が8000円上がる可能性を報じています。
勿論、この予測にはいろいろな不確定要素が含まれているので間違う可能性もあります。
しかしこのような経済的なマイナス効果を国民は本当に真剣に考えていないようです。この事を考えないで一時的な感情で原発をゼロにすべしと主張しているとしたら、それは大変愚かなことと言えましょう。
以上が私の友人の意見の要約です。私が要約を作る間に間違った部分も含まれているでしょうが大筋においては大丈夫だと思います。
さて上記の内容に皆様はどのようなご意見をお持ちでしょうか?コメントを頂ければ嬉しく思います。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(筆名:藤山杜人)