このブログでは何度も書きましたが、私は墓地が何となく好きで、よく散歩に行きます。
墓を大切にしている人々の優しさが感じられます。静かです。晩夏の蝉の声が木々の上のほうから降り注いできます。
昨日は府中市の浅間山の麓にある慈恵院という禅宗のお寺の墓地を散歩して来ました。
驚いたことにその広い墓地は全て犬や猫のお墓で埋め尽くされているのです。このお寺は1921年に造られ、完成すると同時に犬猫専門の墓地を作ったのです。
家族の一員として愛された犬や猫のお墓です。人間のうるわしい優しさと深い悲しみを感じさせる散歩道なのです。
家族として一緒に暮らした犬や猫は人間より短命で、先に旅立って行きます。何故か子供のお墓のような可愛さがある墓石が並んでいます。
墓地には何人もの人間が花束や線香を手に持って、悲しそうに歩いています。若い禅宗の修業僧も墓地の掃除をしています。
墓地の空気には人間の優しさと、先に逝ってしまった家族を偲ぶ悲しさが入り混じった不思議な空気が流れています。
昨日、散歩して来たお寺と、その裏にある墓地の写真をお送りします。
上がお寺の正門です。この左手に犬や猫の葬儀一式の相談を受ける窓口があり何でも親切に相談に乗ってくれます。私も少し話を聞いて来ました。
お寺の裏に入って行くと墓地が広がっていて、全てが犬や猫のお墓です。
上は個別のお墓です。多くの墓に花々が供えてありました。
上は合祀墓です。花で埋まっています。見ている間にも2組の家族が花束を供えていました。
上と下は墓の写真です。このお寺には専用の火葬場もあり、遺体を家庭まで引き取りに来てくれます。広い「ドッグラン」の場所もあります。詳しくは、http://www.jikeiin.jp をご覧下さい。
散歩から帰った私は家内へこの墓地の話をしました。
2,3日前のテレビの「日曜美術館」で藤田嗣治の戦争絵画を沢山見た彼女が言います、「何と幸せな犬や猫達なんでしょう。戦死して遺骨も還ってこない人が100万柱もあるのを考えると悲しくなります」。
上で「人間の優しさと、悲しさが入り混じった不思議な空気」と書きました。
全ての墓地にはいろいろな形の永遠の別れを考えさせるので悲しみが流れているのです。心が静かになります。そんな散歩道がお好きな方々へお薦めできる場所です。少しの浄財か庭の花を持って行きましょう。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(筆名:藤山杜人)