クリミア半島はウクライナ共和国の領土です。
そこへロシア共和国の軍隊が侵入し、事実上、占領してしまったのです。
しかしクリミア半島に駐留していた大部分のウクライナ軍の陸軍は抵抗しないで、武器をロシア軍へ渡しました。
要するにクリミア半島に駐留していたウクライナ陸軍は親ロシア的なので戦意が無く投降してしまったのです。
しかし一部のウクライナ陸軍とウクライナの海軍艦隊はまだ完全には投降していないようです。
そこで、ロシア軍はクリミア半島に駐留している全てのウクライナ陸軍と海軍が武装解除して今日の正午まで投降するべきという最後通告を出したと報じられています。
投降しなければ反抗するクリミア半島のウクライナ軍を攻撃、殲滅するというのです。
もともとロシアに帰属したほうが良いという意見が強かったクリミア半島でしたから、大規模な抵抗は起きないでロシア軍に完全に占領されたのでしょう。
そして占領後、ウクライナから独立したクリミア共和国は、その正当な政権を選出する選挙が行い、親ロシア政権が生まれ筈です。
その後、クリミア共和国の国民投票でロシアに併合される可能性もあります。
下の写真はロシア兵のように見える隊列を、一人のクリミア人が大きなロシア国旗を振って歓迎している様子を撮った写真です。
上に整理したことを考えながら、下に示す写真と報道文をご覧下さい。そうすると、明快にご理解出来ると存じます。
ウクライナ南部クリミア(Crimea)自治共和国の首都シンフェロポリ(Simferopol)近郊の国境警備隊基地への道を封鎖する軍服姿の武装集団(ロシア軍か?)と、ロシア国旗を掲げ同集団を歓迎する男性(2014年3月3日撮影)。(c)AFP/ALEXANDER NEMENOV
(上の写真と下の報道文の出典は、http://www.afpbb.com/articles/-/3009684?page=1です。)
【3月4日 AFP】ウクライナ本土の中央政府は3日、ロシアがクリミア(Crimea)半島を占領し、駐留している軍を増派し、クレミアの全ウクライナ軍に対し投降を求める最後通告を出したと非難した。
?ウクライナ中央政府のセレズニョフ・クリミア担当報道官は、クリミア自治共和国の首都シンフェロポリ(Simferopol)でAFPに対し、「このロシアからの最後通告は、クリミアの新たな統治当局を認め、武器を放棄して退去するよう求めるもので、従わないのなら攻撃に備えよと警告している」と語った。その期限については「(4日の)午前1時、または2時か3時(日本時間同8~10時)かもしれない。時間は定められていない」としている。
?一方、ロシアの黒海艦隊(Black Sea Fleet)の匿名の報道官はインタファクス(Interfax)通信に対し、ウクライナのクリミア担当報道官の主張は「全くもってばかげている」と断言。「わが軍がウクライナの同志に対し武力を行使しているという連日の批判にはもう慣れている。われわれを衝突させようとしても無駄だ」と語った。
?さらに同国連邦議会の議長も、ロシアがウクライナに対し軍事行動を起こす「権利」を発動する必要はまだないという見方を示した。(c)AFP/Dmitry ZAKS, Michael MAINVILLE
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以上の報道文は最後通告をされたと主張するウクライナ中央政府と、そんな最後通告はまだしていないというロシアの黒海艦隊の主張を並べて報じています。
どちらが本当かはまだ判りません。
しかしクリミア半島はロシア軍によってほとんど無血占領されたのは事実のようです。
そこまでで、ロシア軍が軍事行動を終了すれば、一件落着になって大戦争は起きないでしょう。しかし欧米側の経済制裁措置は行われるでしょう。
問題はロシア軍がウクライナ本土の平原に侵攻し、ロシア系の多い東部ウクライナを分離、独立させる軍事行動を続行する恐れがあることです。
あるいはウクライナ全土を占領し、親ロシア政権を立てる軍事行動をする恐れもあるのです。
それを阻止するためにはオバマ大統領の決断と勇気、そして西側欧米諸国の団結にかかっているのです。
非常にやっかいな国際紛争になってきました。
日本政府もアメリカの同盟国として決断がせまられる場面も想定されます。
平和なオリンピックの行われたソチのすぐ西隣でこのような軍事対決が起きているのです。人間の愚かさを残念に思っています。