いきなり欧米各国の保有する軍隊の指揮系統を書いて恐縮です。しかしそれを知らないと現在日本で行われている「集団自衛権の行使」に関する議論が理解しにくいのです。
民主主義国が戦争を始める場合、その国の国会が決定して、大統領や総理大臣が最高司令官として命令を下し実行に移されます。
アメリカがイラクやアフガニスタンを占領した戦争では上院と下院の賛成のもとで大統領に軍事行動の命令権を与えて戦争が実行されました。
普通の民主主義国家はドイツも含めてそのようになっています。もっともドイツはいかなる侵略戦争も絶対に行わないと決めています。
ところが日本は憲法で国際紛争の解決にあたっては武力の行使はしないと明記しています。アメリカ占領軍がその条文を入れるよう指示したのです。
安倍総理は本音ではこの条文を削除し、日本が普通の民主主義国家のように軍隊を使えるようにしたのです。
しかし日本の平和憲法を守る政治勢力が大きいので安倍総理は憲法改正をしません。その代りアメリカ軍が戦争を始めた場合に可能な限りいろいろな作戦に自衛隊を国会の承認を得て使えるように法律を作っているのです。
例えば尖閣諸島を占領するために数百隻の中国海軍艦艇が取り囲んだら日本の自衛隊はどのようにするのでしょうか?
その中国の艦隊をアメリカ空軍が攻撃すれば、中国艦艇は沖縄にある米軍基地を粉砕するために長距離ミサイルを発射します。
現在の集団自衛権の議論ではこの中国のミサイルを日本軍は撃ち落とすと言っています。
そして中国軍を攻撃するアメリカの戦闘機へ日本の空中給油機が航空用ガソリンも給油すると言っています。
しかし自衛隊が中国艦隊を追い払う実力行使をするのか、しないのかの議論が無いのです。この点が明確でないので「集団自衛権」の議論が抽象論に終始していて国民には何のことか分からないのです。
それよりもアメリカ軍が尖閣諸島を放棄し、中国軍が上陸したら、自衛隊は静観してるだけでしょうか?
集団自衛権の議論ではアメリカ軍が守ってくれるという仮定の上での議論なので机上の空論になっているのです。
一つだけ明快な点は、北朝鮮が韓国に攻め込んでアメリカが参戦しても自衛隊を韓国へ派遣しないと明記していることです。
アメリカ機の空中給油や戦域海の機雷除去などの支援はするそうです。
しかし下の写真に示すように航空自衛隊にある約344機の戦闘機は全てアメリカ製です。
アメリカ空軍が緊急に貸してくれと言えば日本は貸さざるを得ない場面も想定されます。そのような戦争の現実的な場面を想像もしないで「国連が要請したら協力する」と上品に構えていて良いものでしょうか?ですから抽象論になってしまうのです。
どうも安倍総理の主張する国連が関与する「集団自衛権」は平和憲法を守ろうとする国民を納得させるカモフラージュのようです。
戦後、軍隊を持たないことになった日本が下の写真のような最新の戦闘機を多数保有している現実を直視すべきです。そして誰にでも分かりやすい議論を進めるべきではないでしょうか?
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(藤山杜人)
===参考資料:日本が保有する戦闘機の写真と保有数=====
・F-15J:165機、F-15DJ:48機。合計201機:アメリカ製イーグル
・アメリカ製、バイバーゼロ。合計80機
・アメリカ製、スーパーファントム。合計56機
・ アメリカ製、ファントムII.7機。