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示唆に富んだ一冊でした。その中から本文を紹介。
ファシズムの思想
(1)その国民社会が陥った深刻な「統合の危機」を、ナショナリズムの激しい高揚と強烈な「指導者」崇拝によって克服しようとする試みである。
(2)単なる保守反動と異なるところは、既成の伝統的な支配体制のかなり思い切った―しかし権威主義的な―再編成を求めることにある。その場合の再編成の構想は、マルクス主義的社会主義運動に対する激しい敵対と既成の伝統的支配層への反発に由来する独特の二面性(もしくは両義性)を示す。
(3)そうなるのは、ファシズムの思想がその国の支配層の危機意識ばかりでなく、政治的・社会的没落の危機に瀕した中間的諸階層の危機意識をも強烈に反映しているからである。
ファシズムの内容
(1)「民族共同体の解体を図る者」に対する暴力の肯定、「指導者」原理による国家と社会の再編成、「民族性」の強調と「民族共同体」の再建、強大な「権力国家」の建設と「民族の活力を引き出し、民族の生存の維持とそのさらなる発展を図る」ための戦争の肯定と賛美。(2)反社会主義(反マルクス主義)、反自由主義(反議会主義)、反国際主義であると同時に他方では多くの場合、単なる保守主義にも伝統主義にも、そして金権主義的な「資本主義」にも反対するという「既成思想の全面否定」。
(3)①理性に対する心情、感性、直観、行動、暴力の優位を説く「生の哲学」②差別を合理化し「強者の権利」を説く「社会的ダーウィン主義」と二つの要素を混合したファシスト特有の人生哲学と社会哲学が、合理主義と啓蒙主義、要するに「フランス革命の精神」に対置される。(本書P28より)
主にドイツとイタリアのファシズムについて分析評価した書です。筆者も主張するとおり、日本の天皇制の下での軍部独裁という、上からのファシズムとは異質な面もあります。
が、今日的な政治情勢の中では、思想的傾向や内容に関して、「維新」や「イシハラ新党」など気になる動きが出現していることにもっと関心を払うべきではないか、と思いました。
両者とも、現段階では、議会制民主主義制度の下で、民主・自民に代わる「第三極」の組織つくり・多数派工作となっていて、現・元議員、立候補者などを組織化していくことが中心です。議会において多数派になることで、国家機能の根本的な変革を実現する、となっている点がドイツ・イタリア、あるいは戦前の日本とは異なっているように見えます。
特に、今のところ、ドイツやイタリアなどであったように、一般国民・大衆の中にこうした政治運動を支えるような運動組織体をつくり、日常的(地域的・全国的)な活動を展開する方向性はまだはっきりとはしていません。インターネットを駆使した賛同者つくり、組織(とまでいえるかどうか)つくりは盛んにやっているようです。反対者への陰湿な攻撃なども含めて。
ナチ党は政権掌握のかなり以前から、政治組織を現存体制への攻撃に専念する「攻撃」部(正式には「政治組織第一部」。外国、新聞、組織の3部局)と、将来のナチ国家の幹部集団を用意する「建設」部(正式には「政治組織第二部」。農業、経済、民族及び文化、内務、法律、工業、労働の各部局)の二部門があって、大衆掌握と政権掌握という目的に照準を合わせ、確固たる組織化の意図をうかがわせる体制つくりがなされていた。そうとらえ直すと、中国などの外国・「朝日」などのマスコミへの徹底した攻撃、一方で人材発掘・活用・育成など、「橋下」維新あるいは「イシハラ新党」の組織の方向性を、今回の一連の動きの中で感じないわけにはいきません。
もし、そういう「草の根」からの支持行動組織つくり、一方で上からの指導体制つくりが始まり、あらゆる権力・陰謀などを駆使し、反対勢力粉砕に向けて、有無を言わせぬ暴力装置としての機能を組織として持ち合わせるようになったならば、いっそう危険な段階に入っていくようになるのではないか。
大阪での施策、イシハラ発言、アベ発言などを見ると、現憲法の廃棄・労働組合運動への徹底した非難、解体・日教組を元凶としての教育改革・議会の無力化・防衛・核装備・軍隊・徴兵制・・・、政策的にはかなり危ういものを感じます。
ヒトラーは、運動体・組織を見事に活用し、反対派を徹底的・暴力的に粉砕していきながら、その実力を背景として、当時にあっても合法的(選挙による)にあれよあれよという間に政権党になり、国家統治していったのだから。そんな心配をしなくてもすみそうならいいですが。
橋下さんに比べて、イシハラさんは一人で舞い上がっている感じ。「たち日」のメンバーの平均年齢、72歳。政界ではすでに過去に近い人達の集まりのような印象。イシハラさん、「たち日」のメンバーを非情にも切っていけば、活路は出てくるか(より危険ですが)。そうではなくて数あわせでごたごたしているうちは、別の意味で安心。しかし、インターネットの世界では「イシハラ」賛美が渦巻いています。
ファシズムの思想
(1)その国民社会が陥った深刻な「統合の危機」を、ナショナリズムの激しい高揚と強烈な「指導者」崇拝によって克服しようとする試みである。
(2)単なる保守反動と異なるところは、既成の伝統的な支配体制のかなり思い切った―しかし権威主義的な―再編成を求めることにある。その場合の再編成の構想は、マルクス主義的社会主義運動に対する激しい敵対と既成の伝統的支配層への反発に由来する独特の二面性(もしくは両義性)を示す。
(3)そうなるのは、ファシズムの思想がその国の支配層の危機意識ばかりでなく、政治的・社会的没落の危機に瀕した中間的諸階層の危機意識をも強烈に反映しているからである。
ファシズムの内容
(1)「民族共同体の解体を図る者」に対する暴力の肯定、「指導者」原理による国家と社会の再編成、「民族性」の強調と「民族共同体」の再建、強大な「権力国家」の建設と「民族の活力を引き出し、民族の生存の維持とそのさらなる発展を図る」ための戦争の肯定と賛美。(2)反社会主義(反マルクス主義)、反自由主義(反議会主義)、反国際主義であると同時に他方では多くの場合、単なる保守主義にも伝統主義にも、そして金権主義的な「資本主義」にも反対するという「既成思想の全面否定」。
(3)①理性に対する心情、感性、直観、行動、暴力の優位を説く「生の哲学」②差別を合理化し「強者の権利」を説く「社会的ダーウィン主義」と二つの要素を混合したファシスト特有の人生哲学と社会哲学が、合理主義と啓蒙主義、要するに「フランス革命の精神」に対置される。(本書P28より)
主にドイツとイタリアのファシズムについて分析評価した書です。筆者も主張するとおり、日本の天皇制の下での軍部独裁という、上からのファシズムとは異質な面もあります。
が、今日的な政治情勢の中では、思想的傾向や内容に関して、「維新」や「イシハラ新党」など気になる動きが出現していることにもっと関心を払うべきではないか、と思いました。
両者とも、現段階では、議会制民主主義制度の下で、民主・自民に代わる「第三極」の組織つくり・多数派工作となっていて、現・元議員、立候補者などを組織化していくことが中心です。議会において多数派になることで、国家機能の根本的な変革を実現する、となっている点がドイツ・イタリア、あるいは戦前の日本とは異なっているように見えます。
特に、今のところ、ドイツやイタリアなどであったように、一般国民・大衆の中にこうした政治運動を支えるような運動組織体をつくり、日常的(地域的・全国的)な活動を展開する方向性はまだはっきりとはしていません。インターネットを駆使した賛同者つくり、組織(とまでいえるかどうか)つくりは盛んにやっているようです。反対者への陰湿な攻撃なども含めて。
ナチ党は政権掌握のかなり以前から、政治組織を現存体制への攻撃に専念する「攻撃」部(正式には「政治組織第一部」。外国、新聞、組織の3部局)と、将来のナチ国家の幹部集団を用意する「建設」部(正式には「政治組織第二部」。農業、経済、民族及び文化、内務、法律、工業、労働の各部局)の二部門があって、大衆掌握と政権掌握という目的に照準を合わせ、確固たる組織化の意図をうかがわせる体制つくりがなされていた。そうとらえ直すと、中国などの外国・「朝日」などのマスコミへの徹底した攻撃、一方で人材発掘・活用・育成など、「橋下」維新あるいは「イシハラ新党」の組織の方向性を、今回の一連の動きの中で感じないわけにはいきません。
もし、そういう「草の根」からの支持行動組織つくり、一方で上からの指導体制つくりが始まり、あらゆる権力・陰謀などを駆使し、反対勢力粉砕に向けて、有無を言わせぬ暴力装置としての機能を組織として持ち合わせるようになったならば、いっそう危険な段階に入っていくようになるのではないか。
大阪での施策、イシハラ発言、アベ発言などを見ると、現憲法の廃棄・労働組合運動への徹底した非難、解体・日教組を元凶としての教育改革・議会の無力化・防衛・核装備・軍隊・徴兵制・・・、政策的にはかなり危ういものを感じます。
ヒトラーは、運動体・組織を見事に活用し、反対派を徹底的・暴力的に粉砕していきながら、その実力を背景として、当時にあっても合法的(選挙による)にあれよあれよという間に政権党になり、国家統治していったのだから。そんな心配をしなくてもすみそうならいいですが。
橋下さんに比べて、イシハラさんは一人で舞い上がっている感じ。「たち日」のメンバーの平均年齢、72歳。政界ではすでに過去に近い人達の集まりのような印象。イシハラさん、「たち日」のメンバーを非情にも切っていけば、活路は出てくるか(より危険ですが)。そうではなくて数あわせでごたごたしているうちは、別の意味で安心。しかし、インターネットの世界では「イシハラ」賛美が渦巻いています。
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