最高裁平成20年12月16日判決
(いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である)
非典型担保において、債務者が破産手続開始等を行った際には、契約は催告なくして解除可能であるとするいわゆる「倒産解除特約」が付されることが多い。こうした特約は、言うまでもなく「私的実行」を目的とするものであるため、破産・再生法や執行手続の潜脱ではないかとの指摘があり、有効性が疑われてきた。
破産・再生や執行において、「占有原則」が貫徹されるべきであることは、木庭教授が「ローマ法案内」や「現代日本法へのカタバシス」ほかにおいて強調するところであり、この観点からすると、上記判決は歓迎すべきものということになる(「カタバシス」183~189ページ)。
付言すると、契約一般について倒産解除条項を無効とする裁判例は見当たらない。上記最高裁判例の射程が非典型担保以外の契約にも及ぶか否か(ただし、賃貸借については無効とした最高裁判決あり。)は不明と言える。
(いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である)
非典型担保において、債務者が破産手続開始等を行った際には、契約は催告なくして解除可能であるとするいわゆる「倒産解除特約」が付されることが多い。こうした特約は、言うまでもなく「私的実行」を目的とするものであるため、破産・再生法や執行手続の潜脱ではないかとの指摘があり、有効性が疑われてきた。
破産・再生や執行において、「占有原則」が貫徹されるべきであることは、木庭教授が「ローマ法案内」や「現代日本法へのカタバシス」ほかにおいて強調するところであり、この観点からすると、上記判決は歓迎すべきものということになる(「カタバシス」183~189ページ)。
付言すると、契約一般について倒産解除条項を無効とする裁判例は見当たらない。上記最高裁判例の射程が非典型担保以外の契約にも及ぶか否か(ただし、賃貸借については無効とした最高裁判決あり。)は不明と言える。