思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬
「日本の古典文学を愛する一方で、常に現代文学の目撃者たらんとしたドナルド・キーン。深い愛情と冷徹な眼差しが同居する特異な批評精神を発揮し、日本文学を世界文学の域に高めるべく巨大な足跡を残した。『細雪』の秘密を語る谷崎の思い出。川端の前衛主義者としての意外な横顔。自決直前の三島から受け取った手紙。安部や司馬とののびやかな友情。珠玉の追想集にして稀有なる文学論。」
これを読むと、キーン氏が最も近しい友人と思っていたのが安部公房であることが分かる。
というのも、キーン氏は、作家の欠点も遠慮することなく指摘しているからである。
欠点というのは、例えば、「外国語習得能力の完全なる欠如」(p125)、「安部の目に映ると、事実は常に愉快」になってしまうこと(ちょっとした虚言癖)(p128など)や結核の偽の診断書作成(p129)などは、親しいからこそ見えてくる人間の欠点だろう。
しかも、安部公房の場合、キーン氏の挙げた欠点は、ほぼ全部が彼の作家としての資質に密接に関係しているから面白い。
「日本の古典文学を愛する一方で、常に現代文学の目撃者たらんとしたドナルド・キーン。深い愛情と冷徹な眼差しが同居する特異な批評精神を発揮し、日本文学を世界文学の域に高めるべく巨大な足跡を残した。『細雪』の秘密を語る谷崎の思い出。川端の前衛主義者としての意外な横顔。自決直前の三島から受け取った手紙。安部や司馬とののびやかな友情。珠玉の追想集にして稀有なる文学論。」
これを読むと、キーン氏が最も近しい友人と思っていたのが安部公房であることが分かる。
というのも、キーン氏は、作家の欠点も遠慮することなく指摘しているからである。
欠点というのは、例えば、「外国語習得能力の完全なる欠如」(p125)、「安部の目に映ると、事実は常に愉快」になってしまうこと(ちょっとした虚言癖)(p128など)や結核の偽の診断書作成(p129)などは、親しいからこそ見えてくる人間の欠点だろう。
しかも、安部公房の場合、キーン氏の挙げた欠点は、ほぼ全部が彼の作家としての資質に密接に関係しているから面白い。