「世界文学を読みほどく(初版)」
「社会と人間の幸福感には矛盾があって、たとえ平和な社会でも必ずしも人は幸福ではない。社会は人にとって幸福な場所でないということがわかっている。それを前提にして、一人の若者が育っていく途中では、その矛盾と衝突することを当然予想しなければならない。そのうえで十全なる人格が形成できるかできないか。最初からそういう課題を背負い込んだ、なかなか荷の重い文学の形式です。」(p219)
これは、池澤夏樹氏による「教養小説」の定義である。
なかなかよい指摘だと思う。
それにしても、「教養小説」というのは殆ど誤訳といってよく、「人格形成小説」というのが正しいだろう。
また、池澤先生の指摘を踏まえると、「社会からの負荷に抵抗して人格を作っていく小説」となるが、これを短縮して「抵抗小説」というのも考えられる。
「社会と人間の幸福感には矛盾があって、たとえ平和な社会でも必ずしも人は幸福ではない。社会は人にとって幸福な場所でないということがわかっている。それを前提にして、一人の若者が育っていく途中では、その矛盾と衝突することを当然予想しなければならない。そのうえで十全なる人格が形成できるかできないか。最初からそういう課題を背負い込んだ、なかなか荷の重い文学の形式です。」(p219)
これは、池澤夏樹氏による「教養小説」の定義である。
なかなかよい指摘だと思う。
それにしても、「教養小説」というのは殆ど誤訳といってよく、「人格形成小説」というのが正しいだろう。
また、池澤先生の指摘を踏まえると、「社会からの負荷に抵抗して人格を作っていく小説」となるが、これを短縮して「抵抗小説」というのも考えられる。