Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

抵抗小説

2019年05月13日 08時22分09秒 | Weblog
「世界文学を読みほどく(初版)」
 「社会と人間の幸福感には矛盾があって、たとえ平和な社会でも必ずしも人は幸福ではない。社会は人にとって幸福な場所でないということがわかっている。それを前提にして、一人の若者が育っていく途中では、その矛盾と衝突することを当然予想しなければならない。そのうえで十全なる人格が形成できるかできないか。最初からそういう課題を背負い込んだ、なかなか荷の重い文学の形式です。」(p219)

 これは、池澤夏樹氏による「教養小説」の定義である。
 なかなかよい指摘だと思う。
 それにしても、「教養小説」というのは殆ど誤訳といってよく、「人格形成小説」というのが正しいだろう。
 また、池澤先生の指摘を踏まえると、「社会からの負荷に抵抗して人格を作っていく小説」となるが、これを短縮して「抵抗小説」というのも考えられる。
 
コメント
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