Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

通過儀礼の先送り

2021年12月06日 06時30分21秒 | Weblog
ダンスマガジン2020年2月号
三浦雅士「・・・『くるみ割り人形』もあの世に行って帰ってくる話になっている。少女クララが夢の世界つまり死の世界に行って帰ってくる。生まれ変わるようなもの。じつはそれは初潮の比喩であって、大人の女になるための通過儀礼の寓意なんだという説があります。そういう解釈を許すようにで出来ている。」(p79)

 毎年12月には「くるみ割り人形」を観るのだが、必ず前年とは違うバレエ団のものを選ぶようにしている。
 今回はkバレエカンパニーの公演で、クララ(少女)とマリー姫(大人の女性)を別々のダンサーが演じるのが特色となっている。
 三浦雅士氏も指摘するように、この物語が少女にとっての「通過儀礼」をモチーフとしたものであることは、おそらく定説であるが、「くるみ割り人形」が何の象徴であるかについては、以下のような説がある。

くるみ割り人形とねずみの王様/ブランビラ王女 ホフマン/著 大島かおり/訳
 「『ドイツ迷信事典』によれば、若い女の子がクリスマスにお祝いの食事の残飯を、割ったくるみの殻に入れテーブルに置き、顔を洗って拭わずにおくと、夢のなかで将来のお婿さんがやってきて顔を乾かしてくれる、という言い伝えがあるらしい。またくるみは多産豊穣の象徴とされ性的な含意があるという。形状が睾丸に似ているからだ。」(p443)
 
 なるほど、「くるみ割り人形」は男根の象徴という説があるようで、フロイト先生の理論を裏付けることになる(先生が喜びそうな解釈である。)。
 ともあれ、あくまで私見だが、クララを(成人女性ではなく)少女のダンサー(若手の団員さん)が演じるということは、クララが本当は「通過儀礼」を最後まで経験しなかったことを意味するものと解釈することもできる。
 つまり、「通過儀礼」は先送りされたという見方が出てくるのだ。
 まあ、その方が、家族で安心して観られるようにも思うのだが、どうだろうか?
 
 
コメント
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