明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨日は早めに寝て、朝6時に富岡八幡の骨董市に出かける。荷風の周辺に配置する何か雑物があれば、という訳である。焼けこげだらけの畳には灰皿が要ると思ったが、手持ちの灰皿は、荷風には可愛い過ぎる。もっと実利的で愛想がない物がよい。手持ちの行灯皿にする。 高価な物はむしろ不要であるし、あくまで雑物、力がこもらない方が良い。茶渋がこびりついたアルミ製急須を入手。以前、漱石の愛飲煙草朝日をここで入手した。探してみたら空き箱だったが荷風の煙草 光を見つける。覗いてみるものである。 深川資料館で展示した三遊邸円朝3点の他に今回新たに制作したのは三島、鏡花、漱石、荷風の4点。いずれも手透き和紙にプリントする。今回の手法にピッタリである。三島に日本刀を持たせ、鏡花には、やはり昔富岡八幡の骨董市で入手した、鏡花が持っていたものと同じ万古焼きの兔を膝に置いて『月と兔』とした。向かい干支を集めると縁起が良く出世する、と鏡花は集めていたが、私も干支は酉である。しかし期待した効果は絶無なり。さっそく荷風も傍らに煙草の光を配置し、アルミの急須を置いて本日ここまで。明日の最後の撮影は、皿の上に盛った煙草の吸い殻、というなんとも締まらない撮影である。


みそろぎ人形展9月13日(水)〜19日(火)丸善丸の内本店4Fギャラリー (出品写真作品)三遊亭圓朝×3/泉鏡花/三島由紀夫/夏目漱石/永井荷風
※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載4回「哀しい背中」
※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

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