明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



最後の撮影。よりによって永井荷風の吸い殻である。私のことだからつい山盛りの方が面白いとやり過ぎるのを抑えた。夕方田村写真に向かう。この手法最初の1カット三遊亭円朝を普通にカラーの銀塩プリントに、とラボに向かおうとしたら田村写真の田村さんから手漉き和紙があります、とメールが着た。田村さんは私がやろうとすることを、先に知っている、としばしば思わされて来た。独特の風合いになり、私が見ても描いたようにしか見えない。最後の一押しで拍車をかけているのがこの用紙の使用である。 今年は、三遊亭圓朝、鏑木清方に終始した気がするが、それがきっかけになり始めた新手法による新作4点を含め7点を出品する。(人形展なので人間を撮った牡丹灯籠は出品しない) 当初この手法は、私の大リーグボール3号だ、などとはしゃいでいたが、はたしてどうなのだろうか。まだ自分でもすべてを把握しきれないでいる。周囲に止められるのも聞かず、写真の素人であるのに大型カメラを買い、廃れた技法であるオイルプリントを昔の技法書を頼りに始めた20数年前とは事情が違う。13日〜19日丸の内丸善4F、是非打席に立って実物を見ていただきたい。今回はノートを置いておくので、ご意見などいただければ幸いである。


みそろぎ人形展9月13日(水)〜19日(火)丸善丸の内本店4Fギャラリー (出品写真作品)三遊亭圓朝×3/泉鏡花/三島由紀夫/夏目漱石/永井荷風
※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載4回「哀しい背中」
※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

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