コロナといえば、市ヶ谷に向かう三島等4人は中古のコロナ車中で、ヤクザ映画なら唐獅子牡丹が流れるところだ、と全員で歌った。高倉健と池部良の討ち入り、道行きに自分達を見立てた訳である。そこで唐獅子牡丹を背負った三島と他の4人。背後には白いコロナ、という絵が浮かび。中古車を捜し出し撮影した。しかし肝腎の唐獅子牡丹の彫物をどうするか、絵を描いて貼り付けるか、と悩んでいるうちにタイムリミットが来て断念した。三島は薔薇十字社の写真集男の死のためだと思うが、彫師2人に連絡を取っている。しかし本気で入れる気であった可能性も捨てきれない。あれはいっぺんに入れるものではなく、腫れが治まるのを待って彫り進める。彫っている最中を見学したことがあるが、痛さのあまり途中で用事を思い出す人が少なからずいるそうである。三島には時間がない。入れたかったのは間違いなく、澁澤龍彦は学習院の父兄が入れるわけにはいかないでしょうと、いうのを聞いている。以前ブログに三島と彫師について書いたところ、高取英さんが三島は薔薇の彫り物を入れたかった、と教えていただいた。 当時、決起についての打ち合わせを六本木のサウナでよく行っていたが、そこで何も入っていない背中を見せておきながら、当日入っていて隊員ビックリ、世間はそれ以上にビックリ。三島はそのぐらいのことをやりかねない。もっとも介錯の森田の手元余計に狂い、さらに悲惨なことになっていたりして。 私の方はその数年後、女彫師と知り合い、人形に直接描いてもらい事なきを得た。
| Trackback ( 0 )
|