明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



5月の個展の頃は世間がどうなっているか判らないが、テレビを観ないので、制作に集中出来ている。5月までは交通事故にも気を付けたい。将来の目標など何もないので、目の前のことをこなして、次があるならその時考えれば良い。つまり今日が人生上の最先端、突端である。イメージが頭にあるのにやり尽くしていなかった三島の男の死をまさか最後までやれるとは思わず、聞き間違いではないか、とふげん社に確かめに行ってしまった。 また写真はともかく、人形としては完成していなかった太宰治も乾燥中である。これも何よりである。そして今日、やり残した物に着手した。 エドガー・アラン・ポーは、世界初の推理小説を書いたといわれている。モルグ街の殺人だが、犯人はオランウータンである。しかし私が知らないだけだとは思うが、映画、イラスト、挿絵の類でオランウータンが描かれているのを見たことがない。多摩動物園のオランウータンにカミソリ持たせて裸の女に振りかぶらせた。しかし未だポーファンと出逢ったことも人と話したこともない。悪夢がかってはいるものの夢を観させられるという意味では東の鏡花、西のポーといいたいのだが。やり残したのは鴉The Ravenである。背景は上手くいったがポーの顔に暖炉の灯りを想定して、下から照明を当てたのが間違いであった。目の下に影があり、陰鬱な表情であってこそポーである。下から光が当たったポーなど誰も見たことないだろうが、普通お化けたぞう、と怖くなるはずが、気弱そうなタダの白人のオジサンになってしまった。シチュエーション他、背景は顔のために用意してきたのに、リアルにこだわったせいである。そこで新たに背景を用意した。私のポーの決定版としたい。

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