明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

DM  


三島の弓張月は雪が降っている。今頃降っても遅い。背景は作ってしまった。最後に雪を降らせるだけである。三島が扮する(私にさせられているのだが)武藤太(ぶとうだ)は悪党であるから主に青や黒により隈取りを入れることになったが、当然三島に見えない。以前、やはりインフルエンザが流行っていて、睨まれると風邪ひかない團十郎を、フリーペーパーの表紙に進言し、建替え直前の歌舞伎座の屋根に正義の味方、暫こと鎌倉権五郎景政を九代目で作ろうとして、その隈取にせっかく作った顔が埋もれてしまうのに耐えられず、助六に換えた私だが、今回は三島だらけであるから、一人だけ誰だか解らなくても我慢しなければならない。ここまで三島にやらせてしまうと虚実も夜の夢もあったものではないが、まだ残バラ髪を人形用の髪を使うか、あえて粘土で作って芝居がかったカツラ調にするか迷っている。人形用を使うなら脇毛と胸毛もそうするかどうか。何しろ三島自慢の胸毛である。悩むに値はするが何をやっているんだ私は、と半分は思うのである。しかしそういいながら、甘美な孤独感と共に快感物質が胃液の逆流が如くに湧いてくるのであった。 DMが出来上がって来た。とりあえず表面を。5月9日土曜日は飯沢耕太郎さんとのギャラリートークも予定している。もちろん諸状況かんがみてということになるが。まだ作る物が山積で、いったいどうするのだ、というところまで至っていないが。





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