新作が一番良いと感じるのは作家としては何よりだが、一つには目が慣れておらず新鮮に見える、ただそれだけ、ということもあるだろう。同じように、水槽内に新入りが入ってくるたび、目移りして主役を換えているようでは先が思いやられる。金魚を眺め、寒山拾得制作に備え、といっても、直接金魚自体を参考にして、という訳ではないので、いい加減にしておかなければならないだろう。他の連中が私の姿を見ると、餌を投入する水槽の左側にいつも集まっているのだが、寒山だけが、未だに一匹、右側にいて、斜め上を見ている。中学生になると、急に押し黙り、遠くを見る目になったりする奴がいたものだが、あれを思い出した。相変わらず食欲は大勢なのでそれほど気にはしていないが、主役が一匹、そっぽを向いているのもどうか。今週中には、寒山拾得の朗読CDが届くだろうから、その時に考えよう。新入りが来るたび、可愛い、などといってそちらの方に目が行ってしまうが、寒山と拾得は本来、薄気味の悪さが持ち味である。 そうこうして、芭蕉庵も、設置方法その他、記念館と確認し、そろそろ制作に入りたいところである。芭蕉の樹はともかく、深川に置かれるのであるから、古池もなんとかしたいところである。こうすれば可能か、と考えてはいるが、果たしてイメージ通り行くものかどうか。それこそやってみなければ判らない。ドールハウスやミニチュアを作る人はいるが、私が作るのであるから、その精巧さに関心してもらうより、あくまでも芭蕉像が引き立つことばかり考えてみたい。
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