明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



先日工芸学校時代の友人が、恩師の画像をフェイスブックに載せていた。91だという。気難しい先生だったので2年目になると、授業の日はサボった。なのに卒業後、その先生のデザインを製品化する岐阜の工場に誘われて就職した。時間内に動物を沢山描け、という課題で沢山描いて、その時以外褒められた記憶はなかったのだが。同級生には沖縄から出てきてトラック運転手をして金を貯めて、という五つも歳上の苦労人もおり、好きな事しかしない私など、さすがに生きて行けないだろう、一年間我慢を覚えよう、と就職したのだが、無遅刻無欠勤で励んでいた所に、女の子が遊びに来て、これを読めと万引したという『澁澤龍彦集成 エロティシズム』を置いて行った。そこには〝似合わないことをするな”と書いてあり、私が頭を使うとロクな方向に向かわないことを知り、ついでに目の前の物にしか責任を持てない私には、陶芸は向いていないことにも気付いてしまった。 若い頃は自分の事は判っている、と考えてばかりいたが、カメラやパソコンなど、嫌いだと言っていた物に限って大事なツールとなり、アンコやちくわぶなど平気で食っている、そして四十年を経て『Don’t Think, Feel!寒山拾得展』に至ったという事になる。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )