アメリカの妹に母の状態を伝えて、今のうちに電話で声を聞いておいた方が良いかも、と伝えると、電話してどうするみたいな反応なので、勝手にしろ、と。見内は時に面倒である。しかし気が強いように見える妹も、実はボケ始めた母と話すのが怖いらしい。なんだ素直にそういえば良いものを? 以前、友人二人と両国に鶴澤寛也さんの義太夫の会を観に行った帰り、道路脇にベンチとブランコ程度の小さな公園があり、ザーザー降りの雨の中、ジャージ姿の女子高生が突っ伏して号泣していた。その異様な様子に私はたじろいだが、友人の一人は姉が4人もいて、よく留雄だ〆夫だなんて名前にされなかったものだが、あからさまな女子の生態を見て育ったので歯牙にもかけず良くある事だ、みたいに平気な顔をしている。もう一人も姉が2人で、小学生の時〝バケモノがいる!”みんなで観に行くと、オタフク風邪でセーラ服姿の姉がガラス張りの通りに面した喫茶店でタバコを吹かしていたと言う。二人揃って大人に至っても元スケバンの姉に苦労させられたようで、明らかにその女性観に影響を被っている。口達者な妹一人がせめてもであった。