夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「母(かあ)べぇ」(試写会)

2008年01月10日 23時49分19秒 | Weblog
 年末、ニュース番組の映画コーナーで、某キャスターがお勧め作品として挙げていた作品の一つである「母べぇ」。山田洋次監督が伝える、戦闘シーンのない戦争映画。反戦のメッセージ。それが「母べぇ」である。
 昭和15年の東京。野上家では、父を「父べぇ」、母を「母べぇ」、娘の初子と照美を「初べぇ」「照べぇ」と呼び合っている。そんな仲むつまじい家族であったが、文学者である父・滋が、思想犯であるとの理由で治安維持法で検挙されてから、野上家の生活は一変する。
 犯罪者家族と世間から白い目で見られる一方で、心あたたかい人たちが野上家を救う。滋の教え子で、出版社に勤める山崎。滋の妹の久子。どちらも家族の信頼を得、娘たちにも慕われている。そして、変わり者の仙吉おじさんも…。 しかし、時代は、さらに野上家を揺さぶり続けるのである。
 離れ離れになった家族の心をつなぐのは手紙。父が、母が、娘たちが、それぞれの思いで気持ちを伝える。この手紙のやりとりの場面では、目頭が熱くなるひとも多いだろう。今の時代では、もどかしい手段かもしれないが、心が通っているいい場面。日常は日常として、生活としてある。時代は激しく動いても…。
 原爆詩の朗読活動を通じて、平和を訴えてきている吉永小百合が主演。父・滋には板東三津五郎が扮している。また、山田洋次作品の常連となった檀れいが、父の妹・久子を演じている。そして、映画ファンとしては、浅野忠信がメジャーな映画(という表現も何だが…)に久しぶりに出演しているのが嬉しいところであろう。