夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『草原の椅子』

2013年03月21日 09時07分21秒 | Weblog
バツイチで大学生の娘と一緒に暮らすサラリーマンの遠間憲太郎は、50歳を過ぎて取引先の社長・富樫と親友になる。また、骨董店のオーナー・篠原貴志子と出会い、交流を深めていく。さらに、親に見離された子ども圭輔の面倒を見るようになる。という、三つの出会いが訪れる。

年を重ね、人生の岐路に立つ大人たち。母親から虐待を受け、心に傷をおってしまった子ども。彼らは、一冊の写真集に心を動かされ、やがて最後の桃源郷であるパキスタンのフンザに旅立つ。

やっぱり、広い世界の中では人一人はちっぽけで、自然の力の前では無力。しかし、同じ日々を繰り返しても生きる意義は見出すことはできる。誰もが直面する、人生の岐路。自分らしく、日々を繰り返していくことが未来へつながる。狭い芝生の上にある椅子も、見方を変えれば草原にある椅子のように見える。これが、この映画の根幹となるもの。

監督をつとめたのは『八日目の蝉』の成島出。今作も、現実を見据えながら、きれいごとではない人間の日々にスポットをあて、さまざまな社会問題を投げかける。芥川賞作家の宮本輝が阪神・淡路大震災をきっかけに、シルクロード6700キロ、40日にわたる旅を体験して執筆した小説を映画化。遠間を佐藤浩市、富樫を西村雅彦、貴志子を吉瀬美智子が演じている。遠間と圭輔のデコボコぶりな交流に心が温まる。器用ではないが、懸命。そこがいい。
遠間の娘を若手注目株の黒木華、遠間の別れた妻を若村麻由美がつとめた。

主題歌はGLAYの「真昼の月の静けさに」である。