『ヘルタースケルター』『リバース・エッジ』など、1980~1990年代にかけて人気作品を送り出した漫画家・岡崎京子。彼女が94年に発表した作品を実写映画化。SNSが普及した現代が舞台となっている。門脇麦、成田凌、村上虹郎、寛一郎、玉城ティナ、吉田志織などが出演し、自主映画作品で注目された新鋭・二宮健が監督をつとめた。
ある若者グループのアイドル的存在で「チワワ」と呼ばれていた女性が、バラバラ遺体で発見される。グループのメンバーたちは、それがすぐに「チワワちゃん」であることにしばらく気づかずボーゼン。とても近い関係で毎日バカ騒ぎをしていたのに、彼女のことは何も知らないのだった。テレビで放送される内容と自分たちが見ていた「チワワちゃん」とのギャップ。本当の彼女の姿とはどういうものだったのか。それを追いながらも、バカ騒ぎをする時期もそろそろ終わりがきていた。
いたいけな青春。いや、痛い系の若者の群像劇か。若いころに岡崎京子が見ていた世界ってどんなだったのだろう。相反する立場にいると見えていないもの、見ようとしていなかったものがあるのだろうね。
門脇麦は演技というか、存在感が年齢の割に大人。役を俯瞰的に見ることができるようだ。その場にいながら、どこか冷めていて、第三者目線となっているのが面白い。成田凌はカメレオン俳優と言っていいと思う。不良役もハマる。
方向性も違うし、世代も違うのだが、映画『キサラギ』が少し頭に浮かんだ。『キサラギ』は痛くはないけれども。