日米合作。2020年8月にNHKで放送された「太陽の子」をドラマとは違う視点で描いた劇場版。監督・脚本は「ひよっこ」「晴天を衝け」の黒崎博。
太平洋戦争中に日本に存在した〝原爆研究〟を背景に、時代に翻弄された若者たちを描く。
京都帝国大学の科学者・石村修(柳楽優弥)と研究者たちは教授の指導の下、原子核爆弾の研究を進めていた。
建物疎開で家を失くした朝倉世津(有村架純)は、幼馴染の修の家に祖父とともに居候することになる。間もなく、戦地から弟の裕之(三浦春馬)が一時帰国し、3人は久しぶりに再会する。戦争で深い傷を負った裕之と、物理学研究の闇をしりながらも、これがあれば戦争が終わると信じて研究に没頭する修。
やがて、戦況はさらに悪化する中、裕之は再び戦地に向かう。
そして、8月6日。その時がやってきてしまう。
映画になって映像が追加になっていたり、ラストで修と世津の間に一歩踏み込んでいたような気がする。
ドラマでは曖昧だったものが整理されたかもしれない。
自分たちが住む京都市内に爆弾が落とされるという噂を聞きつけ、研究者として「比叡山に登って、その瞬間を見たい」と教授に話すシーンからの先に、これまでの修を演じてきた柳楽優弥のおさえてきた感情があふれ出す。
また、縁側で世津が修と裕之に「勝っても負けても戦争は無意味や」と語る場面。世津を演じる有村架純はここでアドリブで二人の手を取ったと、テレビの番宣で話していた。そのため、手を取られた柳楽優弥と三浦春馬が素で驚いた表情を見せたとのこと。この、未来を語りながらも切ないシーンに注目である。
修と裕之の母役に田中裕子、研究室の教授に國村隼、ほかにイッセー尾形、三浦誠己、尾上寛之、葉山将之など。
日本は、原爆の開発にアメリカより早く成功していたら、どうしていたであろうか…。