第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞ほかを受賞した。
この受賞がスタートとなり、アカデミー賞作品をも受賞するか?とされているのは言わずと知れたところ。
俳優であり演出家でもある家福(西島秀俊)は、心から愛する妻・音(霧島れいか)と何の不満もなく日々を送っていた。
しかし、ある秘密を残したまま亡くなってしまう。
その、2年後、、、。広島で演劇祭が開かれることになり、愛車で向かった家福は、専属ドライバー・みさき(三浦透子)をつけられる。
オーディションでは、日本人たけでなく香港や韓国からの応募者があり、その中にはかつて音から紹介された高槻(岡田将生)もいた。多国籍な分、意思疎通などの問題はあるが稽古は順調に進んでいく。ところが、ある事件が起きてしまう。
そして、ニコリとも笑わず寡黙なドライバーみさきだが、家福はその運転技術に感心し、信頼を寄せていく。
若いみさきが広島でドライバーをしているわけを聞き、家福は妻が抱えてきた秘密を話し始める。
このあたりのラスト20分は息を飲む展開となる。
この作品の映像化を熱望し、自ら脚本も手がけたのは濱口竜也監督。『寝ても覚めても』でも注目された。
村上春樹の短編小説、劇中劇が多国籍キャストでそのままその国の言語で上演されるところ、人権問題が絡んできたり、それぞれに“事情”を抱えているところなどの背景を考えると、昨今のアカデミー賞の傾向から見ると、この作品が作品賞を取るかもしてない、と思わされる内容ではあった。
約3時間という上映時間。うまく構成されていると思った。