夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

「本のはなし」

2024年07月28日 21時10分52秒 | Weblog

玉岡かおる原作の「われ去りしとも美は朽ちず」(潮出版)

この本の中では、鴻塚国際美術館となっているが、本の表紙からもわかるよう

に、大塚国際美術館がモチーフとなっている。

ご存じの方も多いと思うが、大塚国際美術館は、陶板で名作絵画を再現した美

術館である。


当方は月に一度、カルチャーセンターのレベルだが西洋美術史の講座を受講し

ている。その講師は、大塚国際美術館の初代学芸室長である平田雅男氏だ。

平田先生(こう明記するのを許されたし)は、当時の代表・大塚正士とのやり

とりを交えながら講義を進める。1番になることにこだわり、地元の徳島を愛

する男であったこと。美術館の入場者を増やすために、旅行社へ売り込みをし

たこと。できたばかりのころは“にせもの美術館”と言われたことなどを、笑い

を入れ込む楽しい講座だ。日本は管理がちゃんとしているので、本物の絵画で

も展示の許可が出やすいというのも特徴としてあるらしい。

そして今回この本を読み、平田先生の話と大塚国際美術館ができるまでの過程

がつながったということと、オーナーが次世代へつないでいこうという強い思い

だ。たくさん稼いで、それを還元したいとの思い。また、その自社の陶板技

術が向上され、世界へ渡るということもある。昔のお金持ちはやることのケタ

が違うと感じることだ。

世界の絵画を選定した学者たちもまた、陶板になった“本物の絵画”を身近に感

じてもらおうと著作権許可をとるために奔走した。絵具などで描いた絵画は、

いずれ朽ち、修復が必要になる。だが、陶板にすると3000年は朽ちない。いず

れ修復が必要になったときに、その元になることができるのが陶板に残された

絵画となる。

大きな絵画は、不自然にならないところでつなげられている。それも、陶板の

技術が存分に生かされているとのことだ。

さて、この作品に特定のモデルはいないということだが、平田先生はあの人の

イメージかな?というのはある。

行こう、行こうと思いながら行けていない大塚国際美術館。モネの「睡蓮」の

池までつくっていたのか…。創業75年に合わせて(構想から10年を要した)

75億円を用意していたが、その5倍の資金が最終的には投入されている。

まあ、本を読んでしまうと行くしかないのでしょうね。