夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『PERFECT DAYS』

2023年12月29日 08時38分03秒 | Weblog

『パリ・テキサス』『ベルリン・天使の詩』などで知られるヴィム・ベンダースが日本の

トイレと木漏れ日に着想を得て描かれる日本映画。主演は役所広司。2023年、第76回カン

ヌ国際映画祭コンペディション部門に出品され、役所が男優賞を受賞した。日本人俳優と

しては、『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶりの快挙だった。

 

東京・渋谷のトイレ清掃員として働く平山。

平山は、スカイツリーが見れる質素な住宅に住む。テレビもなく、近所の人が箒で掃く音

で目覚め、決まった日常が静かに始まる。昔から聴いている音楽をカセットで流して出勤。

古本の文章を読むのが楽しみだ。

いつもフィルムカメラを持ち歩き、休憩時間には“木漏れ日“を撮影している。

そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、平山の過去に少しづつ光

が当たり始める。

 

東京・渋谷区内17ケ所の公共トイレを、世界的な建築家クリエイターが改修する 「THE 

TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同したベンダーズが、これらの公共トイレを舞台に

映像化した。斬新なトイレも登場するが、どれも綺麗に清掃されているのが日本である。

ベンダーズ監督は、日本人の綺麗好きと繊細さを見事に表現している。大きな出来事は起

こらないが、変わらない日常を丁寧に描き出した。

出演は他に、柄本時生、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、安藤玉恵。そして、新人の中

野有紗。柄本時生のクズ男ぶりはなかなかのおもしろさ。それぞれも出演者も個性が生き

ている。カンヌ国際映画祭では、男優賞とともにキリスト教関連団体から、人間の内面を

豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル賞も受賞した。

カセットテープから流れてくる曲が秀逸。心が揺れる。

 

映画にはほとんどセリフがない。が、それでも物語に飽きることはない。トイレを利用す

る人々のリアクションにも注目を。

“木漏れ日”という言葉は、日本独特の単語で外国にはそれに当てはまる言葉はない。その

ため、エンドロールのあとには“木漏れ日”についての説明がされている。美しい言葉であ

る。


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