同名のコミックが連続ドラマからの劇場版作品となっている。ドラマを見ていた人の中には、
劇場版にしてほしくなかったとの意見はあるかもしれない。当方も悩んだのだが、終わり方が
気になって見届けようと足を運んだ。
サスペンスでありながら、切羽詰まっているのに夫婦のコミカルな演技が混じるのがホッと
するのがドラマの展開だった。
どこにでもいる普通の父親が娘の彼氏を殺してしまってから7年が経ち、あれから鳥栖夫婦
には息子が生まれ、5歳となっている。家族を守るために命がけで娘に罪を隠し通してきた父
の哲雄だったが、山中に埋めた死体は、大雨により山が崩れて発見されてしまう。捜査に乗り
出す警察と死体とともに消えた10億円を探す半グレの犯罪集団。そして再び標的となり、容疑
者ともなってしまう。そこに、何も知らずに刑事となった娘の零花が事件の真相に迫ろうとし
ていた。
哲雄とともに娘を守るために夫の犯罪の手助けをしてきた哲雄の妻・歌仙を木村多江。映画
から参加するのは、哲雄を疑う組織犯罪対策班のベテラン刑事・安元を立川談春、零花の上司
・戸島をインパルスの板倉俊之。そして組織犯罪組織・間野会トップの志野に津田健次郎。哲
雄の秘密を知る大沢を宮世琉弥が演じている。ドラマからの引き続きは、音尾琢真、高橋恭平
(なにわ男子)、神野三鈴など。監督は青山貴洋、主題歌はEveの「インソムニア」。
ドラマからの一つ一つの伏線は回収されている。最後の最後に、哲雄が趣味で書いている小
説の中身を演じている、というオチがあると思っていたのだが、そこは笑いなしのまっすぐな
ストーリーだった。きちんと結果が描かれていて、これまでの責任が果たされている。普通の
サラリーマンなのに、ものすごく強くて、トリックにも機転が利く家族思いの男の物語だ。た
だのドンパチで怖いとは違うものである。佐々木蔵之介の不死身さと、木村多江の何かをやら
かしてくれそうな怪演がドラマから引き継がれている。木村多江は不思議な魅力のある人だと
いうのを改めて。
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