留学したものの、夢破れ日本に戻ってきた音大生・湊人(みなと・京本大我)
は、流れてくるピアノの音に導かれて旧校舎に足を踏み入れる。そこには、ど
こか謎めいた雰囲気のある雪乃(ゆきの・古川琴音)いた。運命的な出会いを
果たした二人は、自然と惹かれ合う。雪乃の天真爛漫なキャラクターと、心を
動かすピアノの音色に助けられ、湊人は留学先でのトラウマが癒されていく。
二人で過ごす時間は愛おしくかけがえのないものになっていく。
だが、ある日突然、雪乃は姿を消してしまう。雪乃には、秘密があった。やが
て、その秘密を湊人は知ることになる。
湊人の父親を尾身としのり、雪乃の母親を西田尚美。出演は他に、横田真悠、
三浦りょう太(ケモノへんに尞)、坂口涼太郎、皆川猿時など。監督は、これ
までたくさんの青春ものを描いてきた河合勇人。繊細な若者の心の動きを切り
取った。
高音が鳴り響くショパンの曲は、音楽に詳しくなくてもわかるので、それも楽
しんでみるのもいい。京本大我はこの映画でピアノを弾くために、自分一人で
練習に取り組んでいる。いわば、我流でここまで弾けるのは“血筋”だからか。
連弾もあるので、古川琴音もまた猛特訓したであろう。
さて鑑賞後、京本大我のファンであろう若い二人組女子が後ろで話していた
「あの相手の子もうまかったよな、ちゃんと横にいてるように演じてたもん
な」という言葉。当方はその“女の子”である古川琴音の演技の確認をしに行っ
ているので、その言葉が新鮮だった。それほどは知らない俳優を上手いと思っ
たということ。
そう、古川琴音はとてつもない演技をする。ある意味、引くぐらいの演技だ。
既に朝ドラ「エール」や大河ドラマ「どうする家康」に出演しており、今の月
9「海のはじまり」でも怪演?名演?をしているのだけれども。推しではない
役者に目がいくほどの実力を見せつけた。
積み重なっていく物語を、最後に見事に回収した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます