“瑠璃もハリも照らせば光る”妻は、妊娠中に夢の中で子どもがこう言って“瑠璃”という名前を
選んだという。
2017年に直木賞を受賞した佐藤正午の同名小説を『余命1ヶ月の花嫁』『ストロボ・エッジ』
の廣木隆一監督が映像化。
八戸で暮らし、母の介護をしている小山内堅(つよし・大泉洋)は、数年前まで東京にいた。
仕事も家庭も順調だった堅は、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘の瑠璃を交通事故で突然亡くし
てしまったことから、生活は一変する。言葉にできない深い悲しみから抜け出せない堅の元に、
三角哲彦(目黒蓮)と名乗る見知らぬ男性が訪ねてくる。事故のあった日、小山内の娘が面識
のない自分に会いに来ようとしていたこと。そして、もしかしたら、かつて自分が心から愛し
た女性・瑠璃(有村架純)の生まれ変わりではないか、と告げる。
自分の娘が誰かの生まれ変わりであると、とうてい信じることはできない堅は、三角に冷た
い言葉を投げかけて、帰す。「愛し合っていた一組の夫婦」と「禁じられた恋に落ちていた」
者たちの共通点とは? 全く関係がないと思われた二組のカップルの物語が数十年の時を経て
動き出す。
「もう一度あなたに会いたい」という強い思いが、時空を超えて一つになる。
主演の大泉洋。この人は本当に演劇の人だ。気がつくと、その世界に巻き込まれてしまう。
そして、もう一つの世界を生きる有村架純と目黒蓮パートは、かなり多い。ここがしっかりし
ていないと、現在にはつながりにくいイメージができてしまう。ただ、有村架純は恋愛物の強
者。どんどん大人の女性を演じられるようになっている。また、「ストロボ・エッジ」でも廣
木隆一監督とタッグを組んでいたこともあり、気心は知れているので思い切り演じられたはず。
有村架純が演じる瑠璃が身に付けているアクセサリーにも注目してほしい。
さらに、すべてを理解していそうな妻役の柴咲コウと、そのすべてを知る瑠璃の親友・緑坂ゆ
いを演じる伊藤沙莉。この二人の包容力ある演技が重要ポイントとなった。
高校生役と母親役を演じる伊藤沙莉。息が長い女優になりそうだ。
出演は他に、田中圭、寛一郎、安藤玉恵など。
人は生まれ変わりを重ねている。生まれ変わったら“その人”に会いたい…会える…と、信じたい。
あっ、今思い出した。朝ドラ「ひよっこ」で有村架純と伊藤沙莉は共演していた!が、この
作品での絡みはないけれど。