夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『ある男』

2022年12月06日 09時38分27秒 | Weblog

特集  

 作家・平野啓一郎の原作を石川慶が監督・脚本し、映像化。

当方、原作を既読。内容を知っているだけに、鑑賞を躊躇していたが、キャストの配置

と原作の良さがわかっていて、気になっていただけに鑑賞することにした。

 

 里枝(安藤サクラ)は離婚を経て、子どもを連れて故郷の宮崎に戻っていた。実家の小さ

な文具店を手伝って過ごす日々。そこにある日、スケッチブックと筆を買っていく男性(窪

田正孝)が現れる。

その男は、最近この町にやってきて林業に就いているという。 

やがて、その「谷口大祐」と再婚。女児も誕生し、親子4人で幸せに暮らしていた。しか

し、「大祐」は仕事中の不慮の事故で亡くなってしまう。

1年後、長年疎遠になっている「大祐」の兄・恭一に(眞島秀和)に連絡すると、遺影の

「大祐」は自分の弟ではないという。里枝にとっては、衝撃の事実。愛したはずの“夫”は

誰だったのか、本当の名前も知らない人だった。

 そこで、里枝はかつて依頼したことがある弁護士・城戸(妻夫木聡)に、“夫”の身元調査を

頼む。「谷口大祐」として生きていた人物は誰なのか、なぜ別人として生きてきたのか、

城戸は真実を追っていく。

 

 原作とは違う描き方はあるが、よくまとまった作品。キャストの使い方も贅沢だ。

名前を変えてでも生きなおしたい、というのはあるのだと思う。実際、そうしている人は自分

の周りにはいないだけで、“普通に”いるのだろう。

“大祐”がもっと早くに里枝に出会えていたら、名前を変える必要もなかったのかもしれない。

そして城戸もまた、名前に縛られて生きてきた人物であるということも、この物語の柱である。

妻夫木聡も、安藤サクラも、窪田正孝も感情を控える演技が要求されるが、このメンツなので

難しそうな描写部分も楽しみでしかなかった。

ミステリーなので、どこがどうなるかは書きづらいので、ダラダラ書くのはやめたい。

 出演は他に、清野菜名、仲野太賀、真木よう子、でんでん、小藪千豊など。

事件のカギを握る男には柄本明。当方が原作を読んでいるとき、映像化されれば、この役は

おそらく柄本明になる、この人しかないと思っていた。ゆえに、納得の奇妙さで冴えた演技

は見ごたえがある。

が、この男は関西ことばを話す役。そして当方は関西人。関西人の悪いクセと言っていいの

かもしれないが、柄本明の関西ことばが気になってしまうアクセント

あー-、違うのよと思ってしまう性が悲しい。

が、気にならない人は気にせず、さすがの凄みを感じてもらえるはず(上げたり、下げたりし

ているが褒めてる)。柄本明しかいない。