夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『言えない秘密』

2024年07月14日 19時29分33秒 | Weblog

留学したものの、夢破れ日本に戻ってきた音大生・湊人(みなと・京本大我)

は、流れてくるピアノの音に導かれて旧校舎に足を踏み入れる。そこには、ど

こか謎めいた雰囲気のある雪乃(ゆきの・古川琴音)いた。運命的な出会いを

果たした二人は、自然と惹かれ合う。雪乃の天真爛漫なキャラクターと、心を

動かすピアノの音色に助けられ、湊人は留学先でのトラウマが癒されていく。

二人で過ごす時間は愛おしくかけがえのないものになっていく。

だが、ある日突然、雪乃は姿を消してしまう。雪乃には、秘密があった。やが

て、その秘密を湊人は知ることになる。

湊人の父親を尾身としのり、雪乃の母親を西田尚美。出演は他に、横田真悠、

三浦りょう太(ケモノへんに尞)、坂口涼太郎、皆川猿時など。監督は、これ

までたくさんの青春ものを描いてきた河合勇人。繊細な若者の心の動きを切り

取った。

高音が鳴り響くショパンの曲は、音楽に詳しくなくてもわかるので、それも楽

しんでみるのもいい。京本大我はこの映画でピアノを弾くために、自分一人で

練習に取り組んでいる。いわば、我流でここまで弾けるのは“血筋”だからか。

連弾もあるので、古川琴音もまた猛特訓したであろう。

さて鑑賞後、京本大我のファンであろう若い二人組女子が後ろで話していた

「あの相手の子もうまかったよな、ちゃんと横にいてるように演じてたもん

な」という言葉。当方はその“女の子”である古川琴音の演技の確認をしに行っ

ているので、その言葉が新鮮だった。それほどは知らない俳優を上手いと思っ

たということ。

そう、古川琴音はとてつもない演技をする。ある意味、引くぐらいの演技だ。

既に朝ドラ「エール」や大河ドラマ「どうする家康」に出演しており、今の月

9「海のはじまり」でも怪演?名演?をしているのだけれども。推しではない

役者に目がいくほどの実力を見せつけた。

積み重なっていく物語を、最後に見事に回収した。



『ディア・ファミリー』

2024年07月07日 19時53分20秒 | Weblog

この映画の予告編を観たとき、あるTBSドラマでの工場が浮かんでいたのだ

が。当たり前だが、別物だった。

世界で17万人の命を救ったIABPバルーンカテーテルの誕生にまつわる実話を

もとに描いたヒューマンドラマ。脚本は『糸』の林民夫、監督は『君の膵臓を

食べたい』の月川翔が務めている。

1970年代。小さな町工場を経営する坪井宣政(大泉洋)と妻・陽子(菅野美

穂)の娘である佳美(福本莉子)は生まれつきの心臓疾患を抱えており、幼い

ころに余命10年を宣告されてしまう。どこの医療機関でも治すことはできない

現実を突きつけられた宣政は、娘のために自ら人工心臓を作ることを決める。

知識も経験もない医療器具の開発。それは限りなく不可能に近かったが、宣政

と陽子は勉強に励む。有識者には頭を下げ、資金繰りにも奔走しなければなら

なかったが、佳美の命のリミットが迫っていた。

佳美の姉・奈美は川栄李奈、妹の寿美は新井美羽が演じる。病院関係者には、

光石研、徳永えり、松村北斗、満島真之介。他には戸田菜穂、上杉柊平など。

なお、物語の始まりは夫婦が黄綬褒章の授賞式インタビューから。インタビュ

アーは記者役の有村架純。ラストに、そのシーンに戻るのだが、これには理由

がある。

モデルとなった人たちのものすごいエネルギー。娘のために、妹のために、姉

のために。今は、医療ドラマの中の台詞でもカテーテル手術という言葉が出て

くる。この手術ができるのは、開発する人たちの情熱があったから。そして、

病院内部が縦社会だからこそ、その力関係に押しつぶされていくことがあるこ

とも、理不尽だ。腹立つ~と思う場面があるのは、悔しいが現実なのだろう。

つくづく、自分の立場より目の前の命を優先してくれることを願う。

大泉洋を中心に家族役のキャストは熱演。大泉洋と菅野美穂は幅広い年代を演

じているのはお見事。また、大泉洋の大ファンであることを公言している松村

北斗もナイスアシストしているのでチェック。松村北斗はアクがない演技がで

きるので、この映画でも力みなく感じる。

当方は鑑賞中、ある記憶が蘇っていた。うちの家の斜め向かいに昔、「心臓が

悪くてもう何度も手術してるみたいやねん」と母が話していたまだ小学生だっ

た女の子。明日は入院だという日、おかあさんが銭湯に連れていけないので

(まだみんなに家風呂がなかったそういう時代)、うちでその子がお風呂に入

ることになった。「手術のあとがあるで、びっくりせんといてな」と言われた

と思うが、子どもの入浴の仕方もわからず…長屋の狭い風呂場だし…傷に触れ

ないようにこわごわで、頭にお湯をかけて頭を洗ったり、背中をこすったりし

たと思う。とても本人に気をつかわせてしまったはずだ。そしてその後、当方

はその子の姿を見ることはなかった、と思う。しばらくしてお葬式があったか

ら。普段からほとんど会うことはなかったけれど、とてもしっかりしたいい子

の印象のままという記憶で。  

たぶん、この映画と変わらない時代なはずだと、そのことで頭の中が目まぐる

しかった。おそらく、まだ心臓が悪いと助からない、そういう認識があった時

代だと思う。カテーテルが外国製で日本人の体に合うはずがなかった。人口心

臓が必要だったのかもしれないけれども。そしてまだ、完全な人工心臓は完成

していないという。




『珠玉の西洋絵画  和泉市久保惣記念美術館所蔵品展』(中之島香雪美術館)

2024年07月06日 22時10分01秒 | Weblog

和泉市久保惣記念美術館が所蔵するモネ、ルノワール、ピカソなどの作品が中

之島香雪美術館にて展示されている。会期は6月29日から9月8日までで、前

期は6月29日~7月15日、中期は7月17日~8月4日、後期は8月6日~9月8日

と、三回の展示替が行われる。一度の展示数はそれほど多くはないと感じた

が、これまで鑑賞したことがないものもあり、ゆっくり観ることができる。

 第1章 近代絵画の黎明   ゴヤ、ミレー、コロー

 第2章 「印象派」の時代   ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、ルノワール

               モネ、ロダン

 第3章 20世紀前半 パリ  モディリアーニ、ロートレック、藤田嗣治

 第4章 夢の再生      ルオー、マティス、ミロ、ピカソ

               シャガール

 香雪美術館 修理作品報告   

☆参考

 「久保惣」は、明治時代からおよそ100年にわたり綿業を営み、泉州有数の企

業として発展。昭和52年の廃業を機に三代惣太郎氏が代表して、所縁の地であ

る大阪府和泉市の地域文化発展と地元への報恩の意を込め、美術品および美術

館の建物、敷地、基金が和泉市へ寄贈された。昭和57年10月に、寄贈者を顕

彰する館名をつけ、久保家旧宅跡地に開館されたのが「和泉市久保惣記念館」

とのこと。その後も、美術館・新館、音楽ホール、市民ギャラリー、市民創作

教室、研究棟などが久保家や関係者から追贈され、約5000坪の敷地を有すると

いう。

気になる人は少し足を伸ばしてみるのもいいかも。