小池百合子の民進党大量入党で見せた「希望の党」単独立党と単独代表の体裁は主導権独占欲と栄誉独占欲

2017-10-02 12:30:23 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 最初に小池百合子が新党希望の党の代表に就任するまでの経緯を見てみる。

 小池百合子の側近衆議院議員若狭勝(60)が2017年7月13日に自身代表の政治団体「日本ファーストの会」を立ち上げる。

 その後若狭勝は新党結成を計画、結成一員の民進党離党者細野豪志が9月23日に新党名を「希望の党」とする方向で調整していることを記者団に明らかにする。

 若狭勝の9月23日に出演したテレビ東京系列BSジャパンでの発言。

 若狭勝「共同代表は一つの選択肢だ。党首、代表に少なくとも国会議員がなることはほぼ決まっている。

 (擁立する候補者数)50人は下回らない。『非自民、非民進』の政党をつくるというのが、そもそもの始まりだ。選挙だから何が何でも勝つという近視眼的な対応は基本的にしない」(東京新聞) 

 要するに新党代表については共同代表を一つの選択肢として考えている。一人は国会議員側から、もう一人は小池百合子が都知事を務めたまま就任するという趣意なのだろう。

 擁立する候補者数を「50人は下回らない」と発言していることは50人前後の見通しが立っていることを示す。新党の性格を「非自民、非民進」に置いているということは自民党のみならず、民進党とも一線を画す姿勢でいくことを決めていて、連携は視野に入れていなかったことを示す。

 小池百合子の都庁での9月25日「記者会見」THE PAGE/2017年9月25日 16時57分)    

 文飾は当方。

 小池百合子「今日は名前の発表が多いんですけれども。このたび、希望の党を立ち上げたいと存じます。これはこれまで若狭さん、細野さんをはじめとする方々が議論をしてこられましたけれども、リセットいたしまして、私自身が立ち上げるということでございまして、もう直接絡んでいきたいというふうに思っております。

 ただし都政につきましては、私は現在も都知事でございますので、しっかりとやっていく。そしてむしろ都政をより磨きをかけていく。

     ・・・・・・・・・・

 それから誰が共同代表でってそればっかり質問を受けておりましたけれども、むしろ私がしっかりと旗を掲げるということで明確になるのではないかと思います」――

 「リセットいたしまして、私自身が立ち上げるということでございまして」と言っていることは、党の立ち上げ準備は国会議員が行ってここまで進めてきたが、その進捗を全て「リセット」して、いわば若狭勝や細野と共に立ち上げるのではなく、「私自身が立ち上げる」と単独立党の体裁を与えている物言いとなる。

 単独立党の体裁を取るということは“主導権は我にあり”の暗黙の宣言そのものであろう。

 この宣言には主導権独占欲が明らかに渦巻いているばかりか、新党を立ち上げたことに対する栄誉の独占欲まで窺うことができる。

 主導権独占願欲と栄誉の独占欲の二つの心理が共同代表ではなく、自身のみの単独代表に導くことになったということなのだろう。共同代表であったなら、どちらも独占できなくなるだけではなく、下手をすると、都知事に専念している間に奪われる可能性なきにしもあらずとなる。

 都知事を務めながら、要所要所でしゃしゃり出て、誰が立ち上げた党なのか、誰に主導権があるのか、それとなく知らしめるに違いない。

 「むしろ私がしっかりと旗を掲げるということで明確になるのではないかと思います」との発言にしても、自身の高い人気に対する自信からの“自分あってこそ”の発信であって、主導権独占願望と栄誉の独占欲の二つの心理を見て取ることができる。

 「THE PAGE」記事の有料部分の発言を、「民進党 前原代表と小池氏が会談、連携を協議」毎日新聞/2017年9月27日 12時54分)が紹介している。     

 記事は冒頭で民進党代表の前原誠司が党関係者の情報として9月26日夜、小池百合子と都内で会談、衆院選に向けた両党の連携について協議したと伝えている。

 次いで前原誠司・小池百合子9月26日会談前日の小池百合子の都庁での9月25日記者会見発言を紹介している。

 小池百合子(民進党との連携)「党丸ごとというより、政策に同意してもらえるかだ」

 要するに小池百合子は9月26日に前原誠司と会談する前日の9月25日の時点で民進党との連携と言うよりも、前原が言っていた民進党との合流ついて前原誠司から既に伝えられていたことになる。

 複数のマスコミが前原誠司と小池百合子、自由党の小沢代表の三者が「9月下旬に都内で極秘に会談していた」ことを伝えている。

 この「9月下旬」というのは若狭勝が9月23日にBSジャパンで「『非自民、非民進』の政党を目指す」と発言して民進党を排除していたから、9月23日の出演以降の当日か、9月24日である可能性が高いことになる。

 いずれにしても前原誠司側からの民進党との合流の提案は9月26日の前原誠司との会談で始めて伝えられたのではなく、9月25日の記者会見の時点で既に前以って承知していたことになる。

 2017年10月2日付「YOMIURI ONLINE」記事が10月10日公示・10月22日投開票の衆院選小選挙区の公認候補として220人以上を擁立する方向で最終調整に入り、第1次公認として10月2日にも発表する約210人の内訳は若狭勝ら希望の党独自候補が約80人、民進党からの合流組が約130人、民進党公認で立候補を予定していた212人(読売新聞調べ)のうち、約3分の2は希望からの立候補が認められる格好だと伝えている。   

 尤も他の記事は第1次公認は54人の見通しとなっているとしているが、各マスコミに配信している「共同通信」記事は200人規模と伝えているから、「YOMIURI ONLINE」記事は正確と見ていいはずだ。

 要するに小池百合子は9月25日の都庁での記者会見前に、その時点でリベラル派を排除すると決めていたかどうかは分からないが、解散前の民進党衆議院議員だけではなく、前回総選挙落選組で再立候補・再公認を目指している雪辱組、新たな立候補組合わせて合計何人ぐらいになるかは前原誠司から情報として伝えられていたはずだから、それらが公認を求めて大挙して希望の党入りすることは承知していた。

 そして9月25日の都庁での記者会見を迎えた。と言うことは、入党希望者の人数の多さ、人数に応じた希望の党を立候補のステージとすることの期待値の高さから、小池百合子は大きな政党になる可能性を胸に秘めて記者会見に臨んだはずだ。

 と言うことは、若狭勝が共同代表だと言っていたことに対して自身が単独で代表に就くと言い出したことも、若狭勝や細野豪志その他が党の立ち上げ準備を進めたにも関わらず、「私自身が立ち上げる」と単独立党の体裁を与えて、“主導権は我にあり”の暗黙の宣言となる主導権独占欲を滲ませるたことも、栄誉の独占欲を暗に忍ばせことも、大きな政党への発展を予感させる民進党からの大量入党の安心があったからだろう。

 希望の党が民進党からの合流もなく、新党立ち上げ前の初期の段階から馳せ参じて1次公認の栄誉を受けることとなった50人やそこらの行く末が明確にならない状況下で果たして単独代表に進んで名乗りを挙げただろうか。

 50人やそこらであったなら、先行き不透明で、「私自身が立ち上げる」と単独立党の体裁を与えて、“主導権は我にあり”の誇示を果たしてできただろうか。

 責任を半々にする意味からも、共同代表でいく計算はしたはずだ。

 主導権独占欲にしても栄誉独占欲にしても、利己主義が生み出す精神性に他ならない。

 小池百合子は民進党のリベラル派を希望の党に入れた場合は政策不一致が生じて党内が混乱するという理由で排除したが、小池百合子自身の利己主義から発している主導権独占欲と栄誉独占欲が党内の反発を招き、党内混乱をもたらす原因となる可能性は否定できない。

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