日本が主権国家として真に自立するために →日米同盟破棄→専守防衛 →自衛隊憲法明記 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認 →核政策を対話コントロール→防衛費削減 →教育費無償化財源 |
9月25日(2017年)、安倍晋三は首相官邸で「記者会見」を開いて解散を表明、解散の理由に「国難」と位置づけた少子高齢化と北朝鮮の脅威を上げて、少子化対策の財源として2019年10月増税予定の消費税2%増税分のうち国の借金返済に回す約4兆円の半分、約2兆円を振り分ける使途変更と対北朝鮮圧力外交の是非について国民の信を問うためだとした。
記者会見から後者の対北朝鮮圧力外交に触れた発言を取り出してみる。
安倍晋三「民主主義の原点である選挙が、北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはなりません。むしろ私は、こういう時期にこそ選挙を行うことによって、この北朝鮮問題への対応について国民の皆さんに問いたいと思います」
そして圧力外交の推進を訴えている。
安倍晋三「北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会と共に一層圧力を強化してまいります。
北朝鮮には勤勉な労働力があり、資源も豊富です。北朝鮮が正しい道を歩めば、経済を飛躍的に伸ばすこともできる。しかし、拉致、核・ミサイル問題の解決なくして、北朝鮮に明るい未来などあり得ません。北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります。
圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません」
「暴発させる危険」に触れているが、暴発の危険性を計算し尽くした圧力外交を口にしているわけではないのだから、圧力一辺倒が北朝鮮の暴発を招く危険性を一切排除、ゼロとしていることになる。
要するに安倍晋三が「北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります」と言っていることは圧力外交を北朝鮮の政策変更の唯一の答としているということであって、この点に於いても圧力外交が暴発を招く危険な要素を一切考慮に入れていない、ゼロとしていることになる。
いわば圧力こそ、平和的解決の唯一の方法だと主張していることになる
続いて安倍晋三は「対話の努力は時間稼ぎに利用された」と対話は無効だと排除した上で改めて対北朝鮮圧力外交に対する国民の信任を訴えている。
安倍晋三「私はこの選挙で国民の皆さんから信任を得て、力強い外交を進めていく。北朝鮮に対して、国際社会と共に毅然(きぜん)とした対応を取る考えであります」
圧力外交を北朝鮮の政策変更の唯一の答としているということは、いわば「暴発させる危険」を答に入れていない、ゼロとしているということは、安倍晋三は予想したことが予想したままの結果となって現れることを確信する意味の予定調和に立っていることになる。
この記者会見の3日後の9月28日(2017年)の臨時国会冒頭で安倍晋三は所信表明演説も行わずに解散している。
安倍晋三は10月8日(2017年)に行われた日本記者クラブ主催の衆議院選党首討論でも、暴発の危険性を考慮しない、ゼロとした対北朝鮮圧力外交を訴えている。「産経ニュース」記事からの抜粋。
志位和夫共産党委員長「安倍さんに質問いたします。北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。国連安保理(安全保障理事会)決議の厳格な、全面的な実行が必要です。同時に、破滅をもたらす戦争は、絶対に起こしてはなりません。この点で私が大変危惧しているのは、安倍さんが、すべての選択肢はテーブルの上にある、という米国の立場を一貫して支持すると繰り返していることです。ここでいう選択肢の中には、軍事的選択肢、すなわち先制的な軍事力行使も含まれます」
そして「先制的な軍事力行使で対応したら破滅をもたらす戦争になる」として「先制的な軍事力行使は絶対やるべきでないと米国に求めるべきだ」と要求した。
安倍晋三「日本はずっと北朝鮮と対話してまいりました。私もこの問題、94年からずーっと注目し、かかわってもきました。その間、何回も日本は対話をし、北朝鮮と約束をし、コメの支援をし、あるいはKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の合意について、1000億円、日本はお金を貸した。
そのうち400億円は返ってこない。400億円は失効したんですけれども。という状況であります。KEDOの合意においても、2005年の六者(6カ国)協議の合意においても、核を廃棄すると、北朝鮮はそう約束したんですが、この約束は2回も裏切られてしまいました。
この話し合いをまさに時間稼ぎに使って、ここまで核・ミサイルの能力をここまで変えてしまった。私たちはもう、騙されるわけにはいかないんです。ですから、しっかりと圧力、あらゆる手段の圧力を高めていき、北朝鮮に、政策を変えるから話し合ってもらいたいという状況を作ってこさせる必要があります。すべての選択肢がテーブルの上に乗っている。我々はこの米国の方針を支持しております。そうしたことも含めて北朝鮮には圧力がかかっているということであります」
安倍晋三はトランプが「テーブルの上に乗っている」としている「すべての選択肢」に軍事攻撃という選択肢が含まれているにも関わらず、「あらゆる手段の圧力」を「北朝鮮に、政策を変えるから話し合ってもらいたいという状況」をつくる唯一の答としている。
要するに暴発が危険性としてあり得るとする答を一切用意していない。あくまでもその危険性をゼロとしている。
党首討論第2部、日本記者クラブ企画委員4人による代表質問でも、安倍晋三は些かもブレずに同じ答を出している。。「産経ニュース」(党首討論会詳報7)
安倍晋三「北朝鮮は残念ながら、今までこちら側が善意をもって話し合いをしてもうまくいかなかった。安倍政権においても、北朝鮮と話し合いをしたこともあります。ストックホルム合意をしています。しかし残念ながら、それも裏切られています。あの時も制裁を一部解除していますが、だからこそ米国の力を中心に、国際社会が連携して、北朝鮮に圧力をかけて、彼らから『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況を今こそ作り上げなければならないと考えています」
この発言でも圧力を北朝鮮の「『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況」をつくり出す唯一の答としている。
ところが党首討論があった同じ10月8日の夜、インターネットテレビ局「AbemaTV」の番組に出演、解散記者会見や党首討論での圧力=平和的解決の発言を翻している。
「毎日新聞」(2017年10月8日 11時28分)
安倍晋三「あらゆる手段で圧力を高めていくから、状況は緊迫していく。今年暮れから来年にかけて選挙をする状況ではなくなる
(国連安保理対北朝鮮制裁決議の履行によって)石油製品がカットされたら大変なことになる。基本的に緊迫度は増す」
言っていることは対北朝鮮圧力外交の進捗によって「今年暮れから来年にかけて」「状況は緊迫していく」から、その時期は「選挙をする状況ではなくなる」との理由で臨時国会冒頭解散の正当性の訴えとなっているが、状況緊迫の原因を「石油製品がカットされたら大変なことになる。基本的に緊迫度は増す」としている。
例えこの発言が臨時国会冒頭解散の正当性の訴えであったとしても、ここには圧力=平和的解決の予定調和的要素は些かも含まれていない。暴発ゼロどころか、「石油製品がカットされたら大変なことになる」と予想、逆に暴発の危険性を匂わせさえしている。
要するに安倍晋三が解散記者会見で暴発を招く危険性はゼロで、圧力のみが北朝鮮の挑発的な政策の変更を迫って平和的な解決に導く唯一の方法だと提示、そのような対北朝鮮圧力政策の是非について国民の信を問うとし、党首討論でも同じ趣旨の発言をしていながら、テレビ番組では圧力政策によって「石油製品がカットされたら大変なことになる」と暴発の危険性がゼロでないことを匂わせているということは単に発言が矛盾しているということではなく、選挙に於ける国民に対する信任の問いかけに矛盾を生じさせていることを示す。
いわば暴発ゼロとした対朝鮮圧力外交で国民の信を問おうとしたことはインチキだったことになる。
国民の信を問うことにインチキまで用いて選挙に勝利し、政権を担当しようと意図する。安倍晋三の程度の低さを知ることになるはずだ。