安倍晋三と菅義偉東京同時不在40分は北朝鮮脅威“国難”との位置づけと待機指示をウソにする姿勢が問題

2017-10-03 11:29:30 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


      2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か

 昨日2017年10月2日のマスコミが安倍晋三と官房長官菅義偉の二人が10月1日に約4時間、同時に東京を不在にした危機管理姿勢を問題にした。

 2001年の実習船「えひめ丸」衝突事故当時の森喜朗首相と福田康夫官房長官が共に都外にいて危機管理の甘さを批判され、森内閣退陣に繋がった教訓を元に大規模災害やテロに備えて首相か官房長官のいずれかが原則都内に残る慣習となっていたという。

 記憶しているところでは、2014年9月27日にも同じような同時不在が出来した。2014年11月11日の任期満了に伴う福島県知事選投票日が任期満了に先んじて10月26日に、2014年12月9日の任期満了に伴う沖縄県知事選投票日が任期満了に先んじて11月16日に控えていた。

 9月27日、首相の安倍晋三が知事選を見据えて福島県川内村を訪問、菅義偉が同じく知事選を見据えて沖縄県を訪問、同時不在を演出することになった。

 国家危機管理に関わる他のメンバーをいつもの態勢で待機・万全を期していたから、何も問題はないとしているが、国家のナンバー1とナンバー2が危機管理よりも選挙を優先させた政治姿勢そのものが問われるはずだ。

 今回の10月1日約4時間の東京同時不在は安倍晋三が京都府舞鶴市で選挙遊説、一方の菅義偉は公明党の立候補予定者演説会出席を目的に北海道に向かうべく羽田空港を午前10時出発によって生じたという。

 この同時不在に関しても菅義偉は他のメンバーによる万全の態勢を挙げて、問題無しとした。

 「NHK NEWS WEB」(2017年10月2日 13時08分)     

 菅義偉(10月2日の記者会見)「衆議院は解散されたが、政府に空白はない。24時間365日、北朝鮮の挑発に対応しており、選挙期間中も同様の対応だ。引き続き、危機管理に万全を尽くす。

 きのうも野上官房副長官が総理大臣官邸に緊急参集できる場所で待機していた。万全の態勢であることに変わりはない」

 危機管理に関する具体的な対応にについて記事は、〈自らと小野寺防衛大臣の2人は、選挙期間中、基本的に東京を中心に残るほか、NSC=国家安全保障会議の4大臣会合のメンバーのうち、少なくとも2人が常に都内に残ること、自らが都外に出る際には官房長官の職務を代行する官房副長官を定めることなどを説明〉したと解説している。

 砕けた言い方をすると、「代わりがいるじゃないか、どこに問題がある」ということになる。

 問題はいくらでもある。

 先ず安倍晋三は9月25日(2017年)の衆議院解散を告げる「記者会見で北朝鮮の脅威を“国難”と位置づけた。  

 安倍晋三「我が国を飛び越える弾道ミサイルの相次ぐ発射、核実験の強行、北朝鮮による挑発はどんどんエスカレートし、その脅威は正に現実のものとなっています。こうした中で、私は、国際社会の連帯をより強固なものとするため、米国、韓国はもちろんのこと、中国、ロシア、インド、欧州、中東、アジアの首脳たちと対話や協議を重ねてきました。そして先般、国連安保理が原油や石油製品の輸出制限を含む厳格な制裁措置を全会一致で決定しました。まず、これを完全に履行する。さらに、北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会と共に一層圧力を強化してまいります。

        ・・・・・・・・・・

 この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります」

 “国難”とは差し迫っている重大な国家の危機を言う。テレビ「プレバト」の俳句評者夏井いつき先生に言わせると、「差し迫っていない国難があるとしたら、ここに持って来い」と言うはずだ。

 安倍晋三は記者会見以外にも、選挙演説でも、北朝鮮の脅威を“国難”だと言い立てている。いわば日本の安全保障と「日本国民の生命と財産」に対して北朝鮮の軍事的挑発が如何に差し迫っている脅威になっているか、声激しく訴えている。

 そのような“国難”と位置づけている以上、それに対する危機管理に於ける万全の態勢とは指揮命令に実効力を伴わせ得る地位の高さと地位の高さに応じた義務と責任の重さを擁した人物が陣頭指揮して初めて指揮命令は高度に機能するゆえに、そのような地位にある人物は危機管理対応に常に関わることができる状況に身を置いている必要がある。

 もし必要でないなら、いわば指揮命令に実効力を十分に伴わせるだけの義務と責任を有していない代理で十分に間に合うということなら、間に合うとすること自体の姿勢も問題になるが、“国難”との位置づけは不要になり、“国難”から外した方がいい。

 安倍晋三が9月26日に菅義偉と防衛省の小野寺五典に対して北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射に備えて衆院選期間中も東京都内で待機して危機管理に当たるよう指示を出したのも北朝鮮脅威を“国難”としたことの緊急措置であったはずだ。

 この緊急措置をウソにしたばかりか、大規模災害やテロに備えて首相か官房長官のいずれかが原則都内に残る慣習を国家安全保障の危機管理としているなら、当然、首相か官房長官のどちらかが危機管理を指揮命令する義務と責任を負っているはずだが、4時間という短い時間であったとしても、その義務と責任を放棄、言ってみれば、“国難”そのものをウソにした。

 安倍晋三と菅義偉が同時に東京を不在にできたのは北朝鮮国内の動きから見て、ミサイル発射も核実験もないことを想定内としていたからだろう。もしどちらかの動きがあったなら、同時不在はできない。

 但し想定内のみで想定外を度外視した行動は想定外の最悪の事態をも想定して最善の備えをする危機管理の原則に反するばかりか、国民に対して北朝鮮脅威に切迫感を与えることになる“国難”との位置づけとのズレを否応もなしに出来させることになる。

 なぜなら、実際に起きる如何なる“国難”も、想定内の事態のみで構成されるわけではなく、想定外の事態に襲われることが往々にして存在するからだ。

 国家の安全保障に義務と責任を最大限に負わなければならない安倍晋三、あるいは菅義偉が北朝鮮脅威を“国難”との位置づけに反して陣頭指揮の危機管理を疎かにし、首都東京を同時に不在にした姿勢・心構えそのものが問われなければならないが、不在の理由が選挙優先という点で国民をバカにする姿勢・心構えということになる。

 不在の間、北朝鮮のミサイル発射もなかった、核実験もなかったとした場合の自己免罪は想定外を想定しない不徹底な危機管理に基づいた結果オーライに過ぎない。

 安倍晋三も菅義偉も発言は仰々しいが、その程度の危機管理しか備えていないことになる。

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