安倍晋三の対北朝鮮「トランプとは『相手を驚かすことはしない』で同意」は選挙有利に進めるニセ情報

2017-10-12 10:48:05 | 政治






 安倍晋三はハッキリ言って、



     ウソつきである!





 「首相 北朝鮮への対応「相手を驚かすことはしない」日米同意」NHK NEWS WEB/2017年10月8日 5時09分) 
    
安倍総理大臣は、10月7日夜インターネットの番組で、北朝鮮情勢への対応をめぐり、「アメリカのトランプ大統領とは外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意している」と述べ、日米間で緊密な意思疎通が図られているという認識を示しました。

この中で、安倍総理大臣は、北朝鮮情勢への対応について、「当然、米中が連携していくことが求められており、私もトランプ大統領にそのように申し上げている。北朝鮮の問題で最も影響力のある中国を動かしていくことが大切であり、先般の国連安全保障理事会の決議でも中国は賛成した」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は、「アメリカのトランプ大統領とは、お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意し、その中で緊密な連携を取り合っている」と述べ、日米間で緊密な意思疎通が図られているという認識を示しました。

また、安倍総理大臣は、立憲民主党などが安全保障関連法の廃止を求めていることについて、「平和安全法制を廃止すれば、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先を『最低でも県外』と言った、鳩山元総理大臣以上の衝撃を与えることになる」と述べ、日米関係に大きな影響を与えることになるという考えを示しました。

 安倍晋三の北朝鮮問題に関する発言のみを纏めてみる。文飾は当方。

 安倍晋三「(対北朝鮮対応について)当然、米中が連携していくことが求められており、私もトランプ大統領にそのように申し上げている。北朝鮮の問題で最も影響力のある中国を動かしていくことが大切であり、先般の国連安全保障理事会の決議でも中国は賛成した。

 アメリカのトランプ大統領とは、お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意し、その中で緊密な連携を取り合っている」――

 北朝鮮に対して最も影響力を持っているのは中国であり、その「中国を動かしていくことが大切」だからとの理由で米中連携の必要性をトランプに進言したのはさも自身であるかのような安倍晋三の言説となっている。

 トランプ政権が発足したのは2017年1月20日。トランプは約2カ月半後の2017年4月6日、7日と米フロリダ州パームビーチの自身の別荘で習近平と初めての米中首脳会談を開いている。この首脳会談に先立ってトランプは英紙のインタビューに応じている。

 トランプ「中国は北朝鮮に対して大きな影響力を持っている。中国は北朝鮮問題で我々を助けるか、そうしないかを決めるだろう。もし中国が手助けするなら中国にとって非常に良いことだ。もし手助けしないのなら誰にとっても良くないことだ。

 もし中国が北朝鮮問題を解決しないのなら、我々がする」(Record china/2017年4月3日22時10分)   

 トランプは米中首脳会談後の4月11日に「NHK NEWS WEB」(2017年4月12日付)記事によると自身のツイッターに「中国が北朝鮮問題を解決すれば、アメリカとより良い貿易取引ができるだろうと中国の習近平国家主席に説明した。中国が協力を決断するなら、それは素晴らしいことだ。そうでなければ、中国抜きで我々が問題を解決する」

 要するに中国が北朝鮮問題を解決する代わりに米中の良好な貿易取引を交換条件とした。貿易取引を交換条件とすることができるのはアメリカ側がこのことについて両国間の貿易不均衡等を楯に相手に譲歩を迫ることのできる有利な立場、あるいは強い立場に立っていることを示す。

 逆の立場なら、交換条件とすることはできない。

 譲歩要求が例えやんわりとした態度からのものであったとしても、有利、あるいは強い立場からの要求という本質は変わらないから、一種の圧力を掛けたことになる。北朝鮮問題の解決に応じなければ、中国はアメリカとの貿易取引で苦しい立場に立たされるだろうという圧力である。

 トランプはこれ以降、中国に対して北朝鮮問題解決の圧力となる要求を様々に出している。

 対して日本の自民党政権も民主党政権も中国の北朝鮮に対する強い影響力を有していることは知っていたが、その強い影響力に“協力”を求めることはあっても、何らかを交換条件として“圧力”を掛けることはなかったし、大体が中国に対して“圧力”を掛ける交換条件も力も持ち合わせていない。
 
 両者を持ち合わせていたなら、対北朝鮮問題に応用するだけではなく、尖閣諸島周辺の日本の領海への中国公船の領海侵入問題にも応用しているはずだし、好き勝手に侵入を繰返させておくことはないはずだ。

 中国に圧力をかけて、その圧力を以てして中国に北朝鮮問題解決に努力させるという発想も力もなかった。いわばトランプが始めた一種の圧力を息遣いとして中国を代役に仕立てた北朝鮮問題解決の遠隔操作でありながら、安倍晋三はこのような遠隔操作をトランプに進言したのは自分であるかのように発言した。

 自身の外交能力をさも有能であるかのように見せ掛けたのである。勿論、選挙を有利に持っていこうとニセ情報を発信したに過ぎない。

 安倍晋三はまた、「アメリカのトランプ大統領とは、お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意し、その中で緊密な連携を取り合っている」と対北朝鮮対応は非威嚇外交を主眼として日米が緊密に連携していることを明らかにしている。

 トランプは2017年9月19日に国連総会に出席、一般討論演説を行っている。文飾は当方。

 トランプ「米国は多大な力と忍耐力はあるが、自国または同盟国を守ることを強制された場合、北朝鮮を完全に破壊する以外にない。

 ロケットマン(金正恩)は彼と彼の政権のための自殺任務にいる。正義者の多くが邪悪な少数者と立ち向かうことがなければ、悪が勝利する。北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの無謀な追求は考えられないほど人命を失う全世界を脅している。米国は準備ができており、意思もあり、可能であるが、その必要がないことを望む」(アメリカ ウオッチ Yuko's Blog/2017年9月19日)  

 「自国または同盟国を守ることを強制された場合、北朝鮮を完全に破壊する以外にない」と言っている「北朝鮮を完全に破壊」「米国は準備ができており、意思もあり、可能である」は時と場合に於ける軍事攻撃の示唆以外の何ものでもない。

 安倍晋三が「相手を驚かすことはしない」ことでトランプと同意していると言っていることとは180度異なる。

 トランプの国連総会発言に対して北朝鮮は9月22日朝、国営メディアを通じて金正恩声明を発表している。

 金正恩声明「怖気づいた犬がさらに騒がしく吠えている。私を驚かせたり立ち止まらせたりするのではなく、私が選択した道が正しく、最後まで進めなければならない道であることを証明している。

 我が国をなくすという歴代で最悪の宣戦布告をしてきた以上、我々も史上最高の超強硬な対応措置の断行を慎重に検討する。妄言に対する代価を必ず支払わせる」(NHK NEWS WEB/2017年9月22日 12時27分)

 トランプの時と場合に於ける軍事力を用いた北朝鮮完全破壊発言に対して北朝鮮はミサイル開発・核開発を思いとどまるどころか、「私が選択した道が正しく」、その道を「最後まで進める」と対抗心を剥き出しにし、その完全破壊発言を「歴代で最悪の宣戦布告」と見做させることになって、金正恩に却って強硬な姿勢を示威させることになった。

 要するにトランプの北朝鮮完全破壊発言は金正恩を「驚かす」威嚇外交の役割しか持たなかった。にも関わらず、安倍晋三はトランプとは「お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意」していると実際の状況とは正反対のことを発言した。

 日本政府が海上自衛隊のイージス艦搭載の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」と陸上自衛隊使用の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の取得方針でいることに対して2017年9月2日付けの北朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が「我々の戦略兵器を脅威だと騒ぎ立て、難癖をつけている。日本は先鋭化した地域情勢を煽っていると、危機に陥りかねない。弾道ミサイルはわが国を核で威嚇するアメリカを狙ったもので、アメリカの敵視政策に積極的に同調しない限り、我々の戦略兵器を恐れることはない」と声明を発表したことは安倍晋三の強硬に主張し続けている対北朝鮮圧力外交だけではなく、いくら日本側に正当性があろうとも、日本の対北朝鮮軍備増強にしても日本側の威嚇に対する北朝鮮側の威嚇という形式を取った北朝鮮を「驚かす」威嚇外交となっていることを示す。

 もし安倍晋三とトランプが実際に「お互いに外交政策で『相手を驚かすことはしない』ということで同意」し、その通りの外交を展開していると信じ込んでいるとしたら、余っ程自己省察能力を欠いたそれぞれの国のリーダーということになって、国を指導する資格を失う。

 要するに安倍晋三のトランプとは非威嚇外交で「同意」しているはトランプへの進言と同様、ニセ情報であり、その類いの発信に過ぎない。

 どのようなニセ情報かと言うと、北朝鮮に圧力をかけて、彼らから『政策を変えるから話し合いをしましょう』という状況を今こそ作り上げなければならない」と10月8日(2017年)の日本記者クラブ主催の党首討論で安倍晋三が発言しているように安倍晋三の北朝鮮に対する圧力外交が北朝鮮の軍事的反撃、あるいは暴発を招く要素はなく、平和的解決を唯一の答としている手前、その答に辻褄を合わせる必要上、北朝鮮の軍事的反撃や暴発を招く場面は生じないとの意図でトランプと「『相手を驚かすことはしない』ということで同意」していると、さも非威嚇外交を展開しているかのように見せかけた、やはり選挙を有利に進めるためのニセ情報であるはずだ。

 大体が「相手を驚かすことはしない」という非威嚇外交は実質的には対話外交に基づいていなければならない。ところが安倍晋三は「対話の努力は時間稼ぎに利用された」、あるいは「今は対話する時ではない」と言って対話を全面的に排除、圧力のみを唯一有効な対北朝鮮外交としているのだから、「相手を驚かすことはしない」は土台、ニセ情報でなければ口にすることはできないし、衆院選がテーマの番組での発言だから、ニセ情報を使ってまでして選挙を有利に進めようとしている発言と見做さざるを得ない。

 安倍晋三はハッキリ言って、ウソつきである!

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