次期衆議院議員選挙 争点とすべき 2つのこと ◎森友・加計政治関与疑惑にまみれた 指導者を続投させるべきか否か ◎成長実感ゼロのアベノミクスを 効果があると見せかける幻想に 今後も付き合うべきか否か |
先ず日本人は権威主義を行動様式としている関係から人間同士を上下関係で受け止めやすい傾向にある。このことは日米関係にも影響しているはずだ。
日本は自国安全保障を日米安全保障条約を通して米国に負っている。だからと言って、自国安全保障は米国の恩恵の上に成り立っているわけではない。
日本の安全保障は米国の安全保障にも関係していくことになるからだ。ゆえにより対等且つ互恵的でなければならない。対等・互恵は双方共に自立した主権国家の間に成り立つ。どちらかが自立性を少しでも欠くと、対等・互恵は崩れる。
ところが、日米地位協定を見ると、日本は従属的立場に置かれていて、非互恵的関係を強いられている。この従属性・非互恵性が露骨な姿を露わにしているのが世間で言われているところの裁判権を誰もが指摘するはずだ。
米軍関係者の犯罪を公務内か公務外かで区別し、公務外の場合は日本側に裁判権はあるが、公務内の場合は米軍側にあるとされていること自体がそれが日本国内の犯罪行為である以上、日本側が従属的立場に置かれた非互恵性を示すものだが、米軍関係者が基地外に住居を構えていて、朝晩の基地への通勤途中は公務内とされ、通勤途中での基地外の犯罪が米軍側の裁判権に帰す決まりも日本側が従属的立場・非互恵的立場に立たされている事例そのものとなる。
さらに公務外の犯罪であっても、米側が先に勾留した場合は日本側が起訴するまで身柄を確保できない規定は容疑者の取調べを欠いた被害者のみの取調べで起訴に持っていく不備を強いられることと、米側が勾留中に容疑者を米国に帰還させてしまうケースがあることも従属的立場・非互恵的立場に立たされている事例となる。
ドイツと米側の地位協定の補足協定ではレイプや殺人等の重犯罪についてはドイツの裁判権で裁くと明確に書いてあるということだが、如何に日米地位協定が従属的・非互恵的取り決めとなっているかを窺うことができる。
これらのことは日本が主権国家としてアメリカに対して真に自立していないことを示す。
日米地位協定だけではない。日米安全保障条約に関しても日本の安全保障を米国に負う形を取っていることによって日本は主権国家として自立できていない状況に立たされている。
「日米安全保障条約第5条」は、〈日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。〉となっているが、時折問題でとなるのが尖閣諸島への応用である。(文飾当方)
2010年9月7日発生の沖縄県尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の際はクリントン米国務長官(当時)が2010年9月23日の民主党政権外相前原誠司との会談で「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象範囲内である」との認識を示したが、中国に対する牽制として日本側が求めた認識であろう。
日本側がその都度米側に対して防衛義務の確認を求めなけれならないということは従属的・非互恵的で、如何に主権国家として自立していないかの証明としかならない。
元外交官の孫崎享によると、「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」の文言に関して、〈米国の憲法では、交戦権は議会で承認されなければ行使できない。つまり、日本領土が攻撃されたとしても、米議会の承認が得られない限り、米軍は出動しないのである。〉と、2012年8月30日付「NEWSポスト7」記事で紹介している。
米議会が自国国益に適うかどうかで判断されることになる尖閣防衛ということになって、必ずしも米大統領や国務長官の認識、あるいは確認通りにはいかないことになる。
この記事も触れているが、アメリカが日米安保条約に基づいて防衛義務を負う対象地域は日本の実効支配地限定であって、竹島と北方領土はそれぞれが韓国とロシアの実効支配地なっているために「安保条約の適用対象外」となっているが、中国が突然、電撃的に尖閣諸島を侵略して実効支配した場合、アメリカが適用範囲外だとしない保証はない。特に中東やアフリカに軍事的な紛争地域を抱えていた場合、その危険性は否定出来ないことになる。
また日本が自国安全保障をアメリカの軍事力に頼ることによって関係悪化国に対しての外交政策に関する画期的な創造性を養う余地を欠くことになっていることも自立性の欠如となって現れている。
もし日本が日米安保条約を結んでいない状態で中国やロシアの軍事力と対峙しなければならない状況に立たされた場合、日本の劣る軍事力を補うために否応もなしに外交的創造力を養わされることになって、外交的創造力の育みに応じて自立した主権国家へと成長していくはずだ。
そのような成長のためにも日米軍事同盟を破棄して、特定国との関係悪化は外交努力に委ねるべきで、外交に力を与えるためには専守防衛に徹して、日本からは戦争を仕掛けない立場を取るべきだろう。
日米軍事同盟破棄は米に対する日本の権威主義の解放にもなって、自立した主権国家と体裁を取ることができる。
また、専守防衛のみとすることによって少なくとも日本国憲法第9条の精神の半分は守ることができる。
専守防衛の規定は自衛隊を合憲とする規定と対応させる関係上、自衛隊共々憲法への明記が必要となる。
北朝鮮の脅威に関しては北朝鮮がミサイルと核を放棄する意志はない以上、核不拡散条約締結を条件に核の保有を容認し、後は対話によってコントロールしていくべきだろう。
日本は北朝鮮に対してだけではなく、中国に対しても外交政策を通してその軍事的脅威を減らしていく努力を重ねて、防衛費を過剰となる状況に持っていき、その過剰分を教育費の無償化の財源とすべきだろう。
そうすることによって2019年10月8%から10%への2%消費税増税分のうち、国の借金返済に回される予定の5分の4の約4兆円程度を予定通りに年々返済に回すことができて、その分、国家予算の編成に少しづつ余裕が出てくる。