安倍晋三の「民主党政権3年間で揺らぎ、自政権でかつてない程強固にした」日米同盟は国民無視・米国支配下

2017-10-26 11:13:45 | 政治

 2017年10月11日午後5時15分半頃、米軍の大型輸送ヘリコプターCH53が沖縄県東村(ひがしそん)高江の基地外牧草地に不時着し、炎上、大破した。

 CH53は垂直離着陸輸送機オスプレイなどと共に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されていて、2004年8月には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)近くの沖縄国際大学に墜落する事故を起こしている。

 全長約30メートル、高さ約9メートルだそうだが、ビル1階の高さが2.5mから3メートル。3メートルとして、高さ10階のビルを横にして高さ3階のビルを縦にした相当な大きさの金属物体が地上に不時着して炎上したことになる。
  
 防衛相の小野寺五典は「米海兵隊所属のCH53が着陸した際に火を噴いた」と説明したとマスコミは伝えている。

 米軍は翌10月12日朝から規制線を二重に張り、調査に入った。但し日米地位協定の関連規定では米軍の同意なく米軍の「財産」の捜索や押収はできないということだから、日本側の調査は米軍の同意次第と言うことになる。

 同意のない米側の一方的な調査・説明のみでは、それが果たして事実その通りなのか、いつまでも疑惑を付き纏わせることになる。

 同10月12日、在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官が沖縄県内にある同型機の運用を96時間(4日間)停止するよう指示した。

 同じ10月12日、小野寺五典はシュローティ在日米軍副司令官と会談している。会談後の小野寺五典の説明。

 小野寺五典「(停止期間は)安全確認できるまでの間ということでいいか」

 シュローティ在日米軍副司令官「その通りだ」(共同通信47NEWS

 小野寺五典は米側に対してニコルソン沖縄地域調整官の同型機運用96時間(4日間)停止指示を撤回させ、原因究明と安全性確認を優先させたことになる。

 10月13日午前、防衛省で対記者団に。

 小野寺五典「期間をあらかじめ設定することなく、事故の原因と安全が確認されるまで運用が停止されることが必要だ。期限が来たから自動的に運用停止が解除されたり、おざなりの調査をするということがないようにしっかり対応していきたい。

 沖縄国際大学の事故のときにも、放射性のストロンチウムが機体のローターの部分に使われているということがあった」(NHK NEWS WEB
 
 期限を設けない事故原因調査と放射性物質を含めた環境調査の徹底をアメリカ側に求めていく考えを示したものだと記事は解説している。要するにどれ程に期間がかかろうと、原因究明と究明に応じた安全性の確認が先で、運行停止の解除はその後になるとシュローティ在日米軍副司令官との会談で取り決めたとおりに対応することを約束した。

 10月17日の「記者会見」防衛省) 

 記者「沖縄のヘリの事故に関しては、何か新しい報告とかはありましたか」

 小野寺五典「昨日も、初歩的な調査をしっかりとしているという報告を受けておりますし、その内容については、現地に派遣した専門的知見を持つ自衛官が情報共有をして、そしてその内容を把握しております。現在のところ、調査が終わって、また、CH-53が飛行を再開するというような情報は入っておりません」

 小野寺五典の「現在のところ、調査が終わって、また、CH-53が飛行を再開するというような情報は入っておりません」の発言は手順を一つ省いている。調査という手順のあとに原因究明と安全性確認を併せた報告の手順が入っていなければならない。その手順を抜いたまま、飛行再開の手順となっているかのような発言となっている。

 意図的に中間手順を省いたのか、あるいは気づかないままに発言したのか。前者だとしたら、米軍側から中間手順を省いた飛行再開を前以って知らされていた疑いが出てくる。

 ところが在日米海兵隊(司令部・沖縄)は小野寺五典の記者会見と同じ10月17日に「専門家が整備記録を調査した結果、問題点は確認されず、運用上の懸念はない」との声明を発表。(産経ニュース/2017.10.18 23:39)      

 但し具体的な原因などには触れずに10月18日に飛行を再開するとしたと言う。記事は、〈小野寺五典防衛相は同日、防衛省で記者団に「十分な説明がなされていない」として遺憾の意を表明し、引き続き情報提供を求める考えを示した。〉と解説している。

 最初の同型機運用96時間(4日間)停止指示よりも3日間長い事故から7日目の10月18日に在日米海兵隊は声明通りに飛行を再開した。

 小野寺五典が10月12日の会談でシュローティ在日米軍副司令官に期限を設けない原因究明と安全性確認優先を認めさせたが、それがいとも簡単に無効にさせられたと言うことは、あるいは相手側が認めると見せ掛けて形式的に応じただけであったとしても、小野寺五典自身か日本側に自分たちの希望を米側に認めさせるだけの力がなかったことことを意味する。

 自分たちの希望とは日本政府の希望だけではなく、日本国民、特に沖縄県民の希望でもあるはずだ。

 小野寺五典は米側の飛行再開が「十分な説明がなされていない」ものだとしているが、10月17日の防衛省での記者会見で米側の原因調査と飛行再開の中間に相手側からの原因究明と安全性確認を併せた報告提出の手順を省いた発言をしていることと関連付けると、小野寺五典は米側から報告書なしの飛行再開を前以って知らされていた疑いが出てくる。

 飛行再開翌日10月19日の防衛省での記者会見       

 記者「米軍ヘリの飛行再開についてですが、その後、日本政府として求めた説明について何らかの回答はあったのでしょうか」

 小野寺五典「:昨日、現地に派遣しています専門的知見を有する自衛隊員から、今回の事故に関しての情報提供について、特にこちらから知りたい内容について米側には伝えてあります。現在、米側で準備をされていると聞いておりますが、まだ明確なそのことに対しての情報を共有しているという状況ではありませんが、引き続き、情報提供を求めているというふうに報告を受けております」

 知りたい情報の提供を申し出ているが、米側は情報提供の準備をしている段階で、提供にまで至っていないから、引き続いて提供を求めているという報告を受けていると回答している。

 10月20日防衛省での記者会見    

 記者「米軍のヘリの飛行再開した件でありますけれど、米側に対して情報提供を求めて行くということでしたけれど、その後、米側からの回答はいかがでしょうか」

 小野寺五典「一昨日、米側にこちらからの追加的な情報提供についての要請を行いました。昨日までの間で情報提供の米側の報告はありませんが、引き続き米側からの報告を求めて行きたいと思っております」

 情報提供についての米側の報告がないままにヘリの飛行が行われ、既成事実化されている。小野寺は「引き続き米側からの報告を求めて行きたいと思っております」と言っているが、ヘリ飛行が既成事実化している以上、一般的には原因究明と安全性確認の報告提供が後付けで飛行が先というあり得ない話を有り得る話にしようとする無理がある。

 同10月20日、アメリカ軍に捜査への協力を求めていた沖縄県警察本部が航空危険行為処罰法違反の疑いで米軍が機体の残骸を殆ど撤去した後の現場検証を行ったと10月20日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。 

 死体が何者かに持ち去られて凶器も見つからない殺人現場で刃物で刺されたのか、首を絞められたのか、鈍器で頭を殴られたのか、殺害方法を特定しようとするような現場検証に過ぎない。

 10月21日と10月22日は防衛省での記者会見はなかったのか、記載はなく、10月23日午後4時過ぎの記者会見  

 記者「話題としては、米軍ヘリCH-53の飛行再開の話もあったのでしょうか」

 小野寺五典「沖縄におけるCH-53Eの事故に関しては、マティス長官の方から、飛行の安全についてしっかり対応するという発言がありました。私からは地元に不安を与えていることを踏まえ、在日米軍の安定的な駐留を確保する観点から、安全性に関する地元への説明について米側の協力を求め、さらに安全な運用を心掛けるようお伝えをさせていただきました」

 原因究明と安全性確認の報告提供が後付けで飛行が先という一般的には考えられない状況は何も変わっていない。と言うよりも、小野寺五典は一般的には考えられない状況をそのまま受容している。

 この受容は米側の遣り方に対する無条件の従属に当たる。

 同10月23日午後7時半過ぎからの防衛省の記者会見ではヘリの話題は無し。翌10月24日の記者会見でもヘリの話題は無い。記者会見の記載は以上となっている。

 今日は10月26日、10月11日のヘリ事故から15日、半月経過している。米軍側から原因究明と安全性確認の報告の提供を受けたというマスコミ報道はない。どうもこのまま放置される雰囲気となっている。

 放置された場合、日本側は米側に無視される存在、無力の存在に貶められていることになる。米側から言うと、日本は無視する存在、無力の存在として扱っていることになる。

 2012年9月26日の自民党総裁選に先立つ9月14日の所見発表演説会で安倍晋三は次のように述べている。 

 安倍晋三「民主党政権の3年間で揺らいだ日米同盟関係を、再び強固にしなければなりません。日本は信頼を取り戻し確固たる日米同盟を築くため、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈に変更する必要があります」

 2013年2月28日の安倍晋三施政方針演説

 安倍晋三「私の外交は、『戦略的な外交』、『普遍的価値を重視する外交』、そして国益を守る『主張する外交』が基本です。傷ついた日本外交を立て直し、世界における確固とした立ち位置を明確にしていきます。

 その基軸となるのは、やはり日米同盟です。

 開かれた海の下、世界最大の海洋国家である米国と、アジア最大の海洋民主主義国家である日本とが、パートナーを成すのは理の当然であり、不断の強化が必要です。

 先日のオバマ大統領との会談により、緊密な日米同盟は完全に復活いたしました。政治、経済、安全保障だけではなく、アジア・太平洋地域、更には国際社会共通の課題に至るまで、同じ戦略意識を持ち、同じ目的を共有していることを確認したのであります。緊密な日米同盟の復活を内外に示し、世界の平和と安定のために、日米が手を携えて協力していくことを鮮明にすることができました」

 「民主党政権の3年間で揺らいだ日米同盟関係」は2月22日のホワイトハウスでのオバマとの首脳会談によって「完全に復活いたしました」と高らかに宣言。

 首相官邸サイト記載の2014年年7月19日の長州「正論」懇話会講演での発言。   

 安倍晋三「さて私はこれまでに22回、月1回以上のペースで海外に出かけました。既に42カ国を訪問しました。これは、結構くたびれることもあるんですが、大切な仕事だと思っています。後、半月後にはこれが47になります。まさに地球儀を俯瞰する外交を展開してきました。

 今年4月にはオバマ大統領が来日しました。民主党政権で崩れかけた日米関係は復活するどころか、かつてない程強固になったと確信しています」――

 さらにさらに、「民主党政権で崩れかけた日米関係は復活するどころか、かつてない程強固になったと確信」――

 だが、今回の2017年10月11日の米軍の大型輸送ヘリコプターCH53の沖縄県東村での不時着、炎上、大破に対して日本側が置かれている何も物申すことができない状況は、既に触れたが、日本側が米側に無視される存在、無力の存在に貶められているに等しく、米国支配下の日米関係、あるいは米国支配下の日米同盟を強固にしたとしか見えない。

 米軍が10月18日に飛行を再開させたことについての翁長沖縄県知事の発言。

 翁長沖縄県知事「もう言葉がないくらい私たちは数十回、数百回、抗議してきたが、日米地位協定の中で日本には当事者能力がない。

 沖縄県はこうした状況をずっと強いられており、抗議を繰り返しても受け止めてくれる人がおらず、むなしい結果だ」(NHK NEWS WEB/2017年 14時23分)

 「当事者能力がない」から、無視される存在、無力の存在に貶められことになる。この当事者能力ゼロは米側の日本政府無視だけのことではなく、日本政府の日本国民無視、沖縄県民無視を骨組みとしていることを忘れてはならない。
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