日本が主権国家として真に自立するために →日米同盟破棄→専守防衛 →自衛隊憲法明記 →核不拡散条約締結条件北朝鮮核保有承認 →核政策を対話コントロール→防衛費削減 →教育費無償化財源 |
希望の党が消費税増税凍結を打ち出し、その減収分による社会保障費、国の借金返済等財源を2016年度過去最高約406兆円に達している企業内部留保(企業利益剰余金)への課税の導入検討を公約として掲げた。
対して安部政権財務相麻生太郎は10月6日の会見で「内部留保は税金を払った後のお金で(導入すれば)二重課税になる」と否定的な見解を示したという。
また内部留保(利益剰余金)は全て現預金で保有されているわけではなく、そのほんの一部で、企業の海外展開の原資や設備投資等の事業の発展に資する資産に回される必要経費であって、課税されてそれらの資産が減殺された場合、企業規模拡大の阻害要因となって、国際競争力を失うことになるという反対意見もある。
例え内部留保(利益剰余金)が企業自身の発展のために再利用されるプール資金であったとしても、基本的な性格は儲け(利益)であることに変わりはない。それだけ儲けている、あるいはそれだけ利益を上げていることの指標となる。
かくこのように企業が儲けていながら、賃金は満足に上がっていない。後者が満足に上がっていないということは企業側が自らの年々の儲け(利益)に対して企業内人材の年々の賃金への配分に釣り合いを与えることができずに、逆に片方だけに偏る格差化に向かっている両者間の状況を放置、企業の発展にのみ内部留保(利益剰余金)資金を回していることを意味する。
国家主義的国家が国家の発展のみを優先して、個人の発展を二の次とする国家と個人の格差の構図と二重写しとなる。安倍晋三が国家主義者だから、企業がそれに倣っているということもあるのかもしれない。
第2次安部政権は2012年12月26日に発足している。残業手当などの超過労働給与(所定外給与)を除き、基本給・職務手当、通勤手当、住宅手当、家族手当等を含んだ「所定内給与」(年単位)の2012年以降の推移を見てみる。
2012年 297万7千円 (民主党政権下)
2013年 295万7千円
2014年 299万6千円
2015年 304万円
2016年 304万円
民主党政権から第2次安部政権に移行した最初の1年は2万円程度下がっているが、2013年から2016年までの3年間で企業が軒並み最高益を上げているのに対して「所定内給与」は8万3千円しか伸びていない。率にして2.8%。
内部留保2013年度約327兆円に対して2016年度約406兆円。その伸びは79兆円。伸び率は24%
この79兆円は国家の一般会計予算を100兆円近辺とすると、一般会計予算に近い金額となる。
要するに内部留保(利益剰余金)として貯め込むことができた儲け・利益は2013年から2016年までに24%の伸びを見せているのに対して所定内給与は同じ年間で伸びは2.8%、この大企業のみに利して個人には利すことのない国家主義的偏りは目に余る。
内部留保(利益剰余金)が企業の海外展開、設備投資等の事業発展に向けた投資に大部分が占められているにしても、給与も企業内人材に対する投資の一部である。その投資は仕事に対するモチベーション向上と消費拡大となって現れる。双方共に企業の業績に反映されることになる。
だが、この投資が満足な数字を取らないために安倍晋三がアベノミクスの成果だとして好調な経済指標だけを取り上げて声を張り上げようとも、個人消費は見るべき活発さを取ることができずに冷え込んだままの自縄自縛状態に陥っている。
現在の企業利益は官製の部分が大きい。日銀金融政策による低金利・株高・円安、さらに法人税減税に大部分を負っている。このことが内部留保(利益剰余金)というプール資金となって現れているはずだ。
国の政策に大きく負いながら、企業内人材には賃金という形で還元する、あるいは投資することを怠り、政府が内部留保(利益剰余金)への課税に反対だと言うなら、全体で一般会計予算に近い金額の儲け、あるいは利益を上げていることは事実なのだから、内部留保(利益剰余金)の何%かは税収に変えて、その税収を何らかの形で国民に還元する方策と見い出さなければならないはずだ。
例えば法人税を一定税率ではなく、大企業程、社会的責任は大きいのだから、企業の営業利益に対応させて累進課税方式とすれば、大企業の金額の大きい内部留保(利益剰余金)をある程度調整できることになって、累進課税で増えた税収を社会保障費や子どもの教育費等に回すことができる
法人税減税が企業の国際競争力維持のための措置だとしても、内部留保(利益剰余金)との関係で見なければ、国家主義的傾向の放置となる。もし安倍政権が内部留保(利益剰余金)も法人税の課税方式も法人税率もこのままでいいと国家主義的状態の維持にのみエネルギーを注ぐなら、安部政権のリセットを目的に国家主義を是正して、企業優先と個人優先を両立できる、いわば低所得層も含めた中間層優先の政策を掲げることのできる政党の政権獲得を望むしかない。