安倍晋三の対北圧力外交と矛盾、儀式で終わるトランプとの11月拉致被害者家族面会 選挙用に持ち出したか

2017-10-13 11:40:27 | 政治

森友学園・加計学園政治関与――


軍事的反撃・暴発を想定しない対北朝鮮圧力一辺倒外交の国家危機管理――


アベノミクス経済政策の格差拡大状況――

全てに責任を負っている国民への説明――


 安倍晋三はハッキリ言って、


     ウソつきである!

 安倍晋三が10月12日(2017年)の新潟県新発田市の遊説で11月初旬来日予定のトランプが日本滞在中に横田夫妻等拉致被害者家族と面会する意向であることを明らかにしたと、その発言全文を次の記事が伝えている。

 「産経ニュース」(2017.10.12 15:51)     

 安倍晋三「新潟といえば、横田めぐみさんを思い出す。13歳の時に北朝鮮に拉致された。ほんとにひどい話だ。お母さんの早紀江さん、お父さんの滋さんは『自分たちは、だんだん年を取った。何とかしてよ、安倍さん』。

 その思いに私は答えていかなければいけない。このお父さん、お母さんが、しっかりとめぐみさんを抱きしめる日がやってくるまで、私の任務は終わらない。この決意で全力を尽くしていく。
 昨年、ニューヨークでトランプ大統領とお目にかかったときも、そしてこの今年の2月、フロリダでトランプ大統領とゆっくり話をさせていただいたときも、めぐみさんのことも、そして拉致問題についてもお話をした。

 『シンゾー、それひどいな』。トランプ大統領はこう言ってました。そして先般のニューヨークにおける国連総会のアメリカ大統領の演説。アメリカ大統領の国連総会における演説は世界中が注目します。その場でめぐみさんについて触れてくれました。本当にうれしかった。

 その後、トランプ大統領と行った首脳会談で、私は『大統領、是非11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください』

 こうお願いをしましたら、その場で『分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、オレも全力尽くしていくよ』。こう約束をしてくれました。

 別の「産経ニュース」記事が安倍晋三の遊説発言を受けた横田早紀江さん、その他の発言を伝えている。   

 横田早紀江さん「お話できる機会があれば、大変ありがたい。実際にどうなるのか具体的な話はまだ何も聞いていない。

 (トランプが9月、国連演説でめぐみさんを念頭に北朝鮮の拉致問題を指弾したことについて)演説は世界に拉致問題を知らしめた。めぐみを含め、まだ多くの被害者が捕らわれている。北朝鮮の過酷な人権侵害を伝えたい」

 西岡力救う会会長「トランプ氏が家族と面会すれば核、ミサイルと共に拉致問題解決の重要性を伝える強力なメッセージになる」

 皮肉な言い方をすると、西岡力が発言しているように「ミサイルと共に拉致問題解決の重要性を伝える強力なメッセージ」になったとしても、解決の有効な方法足り得る可能性は限りなくゼロに近い。

 なぜなら、拉致解決は安倍晋三やトランプが現在行っている対北朝鮮圧力外交から生まれないだろうからである。私自身は対話によって北朝鮮が核保有国であることを核不拡散条約(NPT)の締結を条件に国際社会が認めること、許し難い独裁体制ではあり、仕方がないことだが、金正恩の国家体制を保障する以外に拉致解決はないと思っている。

 いわば圧力外交からは拉致解決は生まれてこない。なぜなら、先ず第1に圧力外交は相手の心を閉ざす方向に向けるのみだからである。第2にミサイル開発・核開発と拉致解決のどちらを取るか、天秤にかけた場合、国家体制保障の唯一の方法と捉えているミサイル開発・核開発を取るだろうからである。

 ところが安倍晋三は対話を排除した圧力外交一辺倒を掲げていながら、拉致解決を言う。矛盾していることに気づかない。

 横田早紀江さんは政府から「実際にどうなるのか具体的な話はまだ何も聞いていない」と発言している。要するに被害者家族に話がないままに安倍晋三は新発田市の遊説で明らかにした。

 トランプが米国大統領当選を正式に認められたのは2016年12月19日だが、それに先立つ11月8日(現地)の大統領選投開票でヒラリー・クリントン氏を破って当選確実を得ている。

 当選確実後の2016年11月17日(米国時間)、安倍晋三はニューヨークを訪れてトランプとトランプ・タワーで会談している。早いとこシッポを振ってお近づきの印としたかったのだろう。

 安倍晋三が「昨年、ニューヨークでトランプ大統領とお目にかかったとき」と言っていることはこの2016年11月17日のことを指す。「今年の2月」と言っていることはトランプ政権が発足した2017年1月20日から21日後の2017年2月10日にホワイトハウスで初の日米首脳会談を行い、その後フロリダのトランプ別荘に向かい、トランプ所有のゴルフ場でゴルフを愉しんでいる。

 この両方の会談ではめぐみさんのことや拉致問題についてトランプに話をした。

 これ以後の両者の会談は2017年5月26日にイタリアタオルミーナ主要7カ国サミット(G7)出席中にトランプと首脳会談。2017年7月8日にドイツで開催の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせてトランプと首脳会談。そして国連総会に合わせてニューヨークを訪問していた安倍晋三は2017年9月21日にトランプと首脳会談。

 トランプに対しての11月訪日の際の面会要請を「その後、トランプ大統領と行った首脳会談で」行ったと言っている「首脳会談」は以上挙げた3度の首脳会談のいずれかと言うことになる。

 最初の2度の会談については「昨年」、「今年の2月」と時期を明示していながら、面会要請の時期については2017年5月26日から2017年9月21日まで4カ月も幅がある上に3度の回数がありながら、なぜ明示しなかったのだろうか。

 9月21日の会談後に行った「記者会見」で安倍晋三は「トランプ大統領の年内訪日に向けて、その調整を加速させることで一致をいたしました」と発言しているから、9月21日の会談で面会要請したのは分かるが、“いつ・どこで”を明示しなければ、国民に対する十分な説明責任とはなり得ない。    

 9月21日の首脳会談で安倍晋三が「大統領、是非11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください」と言い、トランプが「分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、オレも全力尽くしていくよ」と約束していながら、なぜ新潟県新発田市遊説の10月12日にまで21日もあったのに、横田早紀江さんが「実際にどうなるのか具体的な話はまだ何も聞いていない」と言っていることから分かるように拉致被害者家族の誰一人に対しても内々に伝えもせずに伏せたままでいたのだろうか。

 勿論、トランプの訪日が決まるまで時間を要するのは分かる。相手がいいよと言ったからと言って、直ちに実現するわけではない。安倍晋三が新発田市で遊説を行った同じ日付の「朝日デジタル」記事が政府関係者の話として日米両政府が〈北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの両親の滋さん(84)、早紀江さん(81)夫妻と面会する方向で調整に入った。〉と伝えている。   

 要するに安倍晋三に対するトランプの約束を実現に向けて両政府が調整することになったということなのだろうが、トランプの訪日自体は既にスケジュールに乗っていることを示している。約束の実現如何はあくまでも訪日決定が前提になるからだ。

 訪日が決まらないのに面会の調整に入るということはないはずだ。

 9月21日の安倍晋三・トランプ首脳会談から1週間後の2017年9月28日に拉致被害者家族が首相官邸を訪れて安倍晋三首相面会、「拉致問題を最優先してほしい」と要請している。

 この面会の11日前の2017年9月17日が北朝鮮が日本人の拉致を認めた日朝首脳会談から15年の長過ぎる節目となっている。既にトランプの訪日の日程が決定していたが面会の調整はついていなかったとしても、あるいは日程が決定する前で、当然、面会を調整する段階に至っていなかったとしても、9月21日の首脳会談で既に面会を要請し、トランプの快諾を得ているのだから、拉致被害者家族に僅かでも希望を与えるために9月28日の首相官邸での面会時に「大統領、是非11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください」と話を持ちかけたのに対してトランプが「分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、オレも全力尽くしていくよ」と快諾してくれたぐらいの話はしていいはずである。

 だが、そのような話はしなかった。いや、拉致問題が何ら進捗せずに停滞状態となっている手前からも、9月21日の首脳会談からの帰国後に「まだ決まった話ではないが、このような話は通しておいた。11月に訪日が決まらなくても、いつかは訪日することになるから、そのときは面会できるように図る」ぐらいは内々に伝えてもいいはずだ。

 だが、そういったこともしなかった。どのような知らせもせずに10月12日の新発田市の遊説で突然面会話を持ち出した。

 極くごく常識的な手順を踏んでいないことからも、新発田市遊説と同じ10月12日付の「朝日デジタル」記事が、横田夫妻と〈面会する方向で調整に入った。〉との文言で、まだ面会が決まったわけではないことを伝えていることからも、選挙にプラスを与えるために選挙用に急拵えで持ち出した面会話ということもある。

 その程度のことはいつでもする安倍晋三である。

 例え訪日トランプと面会が実現したとしても、拉致被害者家族は2006年4月に当時のジョージ・ブッシュ大統領と、2014年4月に当時のオバマ大統領と面会しているが、面会が拉致文回進展に何ら寄与はしていない。

 似たことを言うことになるが、西岡力の指摘通りに面会が「拉致問題解決の重要性を伝える強力なメッセージ」になったとしても、圧力政策を取っている以上、メッセージ止まりであって、解決に向かうことはない単なる儀式で終わるだろう。

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