北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊アフガニスタン派遣見送り 輸送ヘリ・輸送機派遣を検討するも

2008-07-20 00:39:46 | 国際・政治

■実現は困難、連立与党からも難色

 多忙(遠征)につき時事記事を手短に掲載。政府は18日、アフガニスタン本土への自衛隊復興人道支援任務派遣を当面見送るとの方針を固めた。背景には新法制定の必要があり、加えてアフガニスタン国内の治安情勢の悪化。

Img_0214  現在、日本は、海上自衛隊をインド洋、アラビア海に派遣し、補給艦により洋上補給活動を通じて、武装勢力が海路により他の地域に移動する事案を防止及び阻止する海上阻止行動を支援している。常時、一隻の補給艦を中核として護衛艦などを滞りなく派遣する為には、一定以上の能力を有する海軍でなければ不可能であり、海上自衛隊ならではの国際貢献といえる。現在、5隻の補給艦を中心にローテーションを組み、護衛艦などとともに補給部隊を派遣している。

Img_8310  アフガニスタン本土への復興支援拡大としては、過去にも要請があったように、陸上自衛隊が運用するCH-47輸送ヘリコプターによる輸送支援、航空自衛隊C-130H輸送機による地域間空輸支援などを想定していた。4000㍍級の山岳地帯が続くアフガニスタンにおいては薄い空気などによりヘリコプターの性能が限定されてしまい、地上からの対空砲火から回避するには一定以上の高度を飛行する必要があるのだが、出力に余裕がある大型ヘリコプターとなるとアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)参加国軍にも多くはない為、陸上自衛隊のCH-47には、過去にも派遣の打診があったとされる。

Img_1803_1  航空自衛隊の輸送機支援であるが、小牧基地のC-130Hの派遣が検討されていた。イラク復興人道支援任務への派遣と重ね、航空自衛隊では対応できる性能を持ったC-130Hは一個飛行隊分しか無い為、国内での任務との併行を考えると、規模としては余裕があるのか、と心配になってしまう。ちなみにアフガニスタンではイギリス空軍が過酷な環境により不完全な整備により2機のC-130が亡失している。

Img_4313  アフガニスタン本土への派遣では、現地調査団の派遣など、実施に向けた情報収集や調整などを行ってきたが、新テロ対策特別措置法に加えて新法の制定が必要となるが、連立与党の中でも公明党が難色を示しており、更に自民党にも慎重論がある。なお、新テロ対策特別措置法は臨時国会において来年一月の期限切れ前に延長法案を可決させる方向である。

Img_9553  アフガニスタン本土での治安悪化は深刻で、首都カブールでも40名が死亡する自爆テロが起こっており、アフガニスタン東部でも武装勢力がISAF部隊に攻撃をかけ、9名の戦死者が出ている。これを背景に、米軍ではイラク駐留部隊の一部をアフガニスタンに派遣するなどの増強計画を進めているほどだ。ISAFのマキャナン司令官は、談話でアフガニスタン国内に武装勢力との戦闘が起きない地域があるとは保障出来ない、としており、ISAFの観点からは非戦闘地域という保障は出来ない旨を伝えているが、自衛隊派遣など貢献には歓迎するとしている。

Img_9573  仮にCH-47を派遣する場合は、米軍の戦訓などを紐解けば防弾板の加工や機体自衛装備などに加え、高高度を飛行するため酸素マスクなどの増設が必要となる。現在、陸上自衛隊中央即応集団第1ヘリコプター団には、重機関銃を搭載したCH-47が配備されており、派遣されるとすれば、この機体になるのだろうか。場所が場所だけに、アフガニスタンへの自衛隊派遣は、スーダンダルフール地方やイラクへの派遣と同等の心構えが必要になると考える次第だ。

HARUNA

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