■山鉾巡行 四条通
京都祇園祭、17日には最も優美なことで知られる山鉾巡行が行われた。その写真のなかから、四条通編、御池通編に分けて山鉾巡行の様子を紹介する。本日は四条通編である。
山鉾巡行は、32基の山鉾が籤により進む巡行の順番を決めるのだが、常に長刀鉾が写真のように先頭をゆく事となっている。これは山鉾巡行に先立ち、稚児が疾病を模した注連縄を刀により断ち切ることで山鉾巡行が始まるからであり、疫病という人々の営みに常に脅威を及ぼす存在を、長刀が断ち切って進むという願いに起因している。写真は、その長刀鉾が阪急河原町駅の真上、四条河原町をいま廻ろうとしているところである。
山鉾巡行は0900時から四条通(四条堀川~四条河原町)、河原町通(四条河原町~河原町御池)、御池通(河原町御池~堀川御池)とその周辺の小路を封鎖して行われる。山鉾は人の手により曳かれ、実に徒歩と同じくらいの速度にて前にすすむ。山鉾の中では、祇園囃子が奏でられており、動く美術館と称される山鉾は動く音楽館とも表現するべきという印象だ。
四条通は、オフィス街であり繁華街であり電気街である。それは、四条通の地下を阪急京都本線が走っていることが何よりも示している。大丸、高島屋など大きなデパートも並んでおり、修学旅行生で賑わう新京極、電気街である寺町も、この四条通に繋がっている。ちなみに、山鉾巡行は一ヶ月間の祇園祭において定められた日に行う神事であるので、雨天でも行われるが、四条通のこうした街並の関係上、アーケードがあるため、雨に濡れず観覧することが可能だ。
四条烏丸を行く。四条烏丸の地下には阪急烏丸駅があり、阪急烏丸駅から阪急河原町駅までの四条通は阪急地下道により結ばれている。山鉾巡行の際には四条通歩道はかなり混雑し、移動もままなら無いが地下道はある程度空いており、道路を渡るにも、この地下道をゆくと楽である。
山鉾巡行であるが、こういった行事に多くある後継者問題というのは、京都に限れば大きな問題ではない。交代を含めて鉾には数百人の曳き手が必要となるのだけれども、大学生、大学院生に曳き手の希望者は多く(同期でも曳き手経験者は多い)、なんと聞くところでは祇園祭の曳き手になるべく関西支社を希望し、有給休暇をとって参加するつわものも多いのだとか。
ちなみに、徒歩でゆくのと同じくらいで進む山鉾ならば、0900時から始まる山鉾巡行が、なぜ1430時までかかるのか、と思われる方もいるかもしれないが、山鉾が向きを換える転回にはかなりの時間を要するのだ。何分20㍍以上、10㌧以上のものであるから転回にはかなりの労力を必要とする。その様子は御池通編にて詳しく紹介したい。
阪急地下道を走って走って走った末に、素晴しい撮影ポイントを確保。四条通に山鉾が林立しているような情景は、この祭事がどのようなものであるかを端的に示すものである。この祇園祭、山鉾巡行にて全国のテレビ報道から祭事中継がほぼ終わるので、これを以て終わると誤解される方も多いようだが、七月いっぱい、行われている。
祇園祭に関しては、書店を探すまでも無く、保存会の方の話を聞くだけでかなりの情報量がある。いっそのこと、京都祭事、というカテゴリを、と考えたこともあるが、何分京都の歴史や祭事は奥が非常に深く、妥協して、Weblogには、ある種観光案内的な記事を順次ささやかながらも掲載している次第。
さてさて、山鉾巡行、全てを撮りたいのではあるが、悲しいかな山鉾巡行の日は所用が(なんの因果かほぼ確実に、しかも毎年ほぼ同じ時間に)入っていたので、四条通編、御池通編の中間にあるべき“河原町通編”は無い。しかし、冒頭の長刀鉾が四条河原町を転回するのは1000時前であり、当方、0955時の電車にて移動と時間を区切り、撮影に成功した。今回は、ここまで。御池通編は次週にも掲載を予定しておりますのでお楽しみに。
HARUNA
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