北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

折木良一統合幕僚長、海賊対処部隊激励にジプチを訪問

2009-12-14 22:34:27 | 防衛・安全保障

◆指揮官先頭の伝統

 某与党幹事長は乱心したのか、御上に対してあの言動、それとも日本国民を捨ててでも、この国を壊してでも何かをやり遂げようという意思の表れか。そういう中、一つ、心温まる人の鑑という話題について。

Img_0284  折木統幕長は12月6日、派遣海賊対処航空隊が拠点としている東アフリカ・ジブチ共和国を初訪問し、同国の国際空港地区に展開する同隊を視察するとともに、厳しい自然・生活環境の中で任務に当たる陸海自隊員を激励した。統幕長はジブチと中東・バーレーンの部隊・要員を激励するため12月4日に出発、ジブチには6日午後に到着、ジブチの政府関係者のほか米アフリカ軍副司令官、在ジブチ米・仏軍司令官、駐ジブチ日本大使を表敬、それぞれソマリア沖の海賊対処行動について意見を交換するとともに、関係国の日本部隊への支援に謝意を表した。

Img_9559_1  次いでジブチ国際空港を拠点にアデン湾の監視活動にあたる海自P3C部隊と、飛行場地区の警備にあたる陸自部隊を視察、隊員の仕事ぶりや宿舎の状況などをつぶさに見て回った。視察後、統幕長は訓示で「自衛隊の海賊対処任務に対する各国の評価が、そのまま日本国の評価を決定することを念頭に任務に臨んでほしい」と述べた。 統幕長はジブチ港に寄港中の海賊対処水上部隊3次隊の護衛艦「たかなみ」「はまぎり」も訪れ、乗員を激励した。http://www.asagumo-news.com/news.html(12月10日付朝雲新聞)

Img_0932_1  先日、舞鶴基地を出航し、長い海賊対処任務にあたっていた護衛艦あまぎり、が舞鶴基地に帰港を果たし、これに関しては予備Weblog第二北大路機関に掲載したのだが、海上自衛隊が日章旗を背負い厳しい任務に立ち向かっているということは意外なほど報じられていないようだ。海上自衛隊が現在、ソマリア沖において、日本に向かう船舶を中心に、スエズ運河を経て紅海からインド洋に至るアデン湾において、終息の見通しさえ立たない厳しい海賊対処任務に海上自衛隊が護衛艦二隻と哨戒機二機を派遣している、という現実さえ、大手マスコミは時として社会欄に小さな記事を掲載する以外扱わない実情はある。

Img_6039  こうした中で、陸海空自衛隊の最高峰に立つ折木統合幕僚長が、ジプチを訪問し、第一線にて哨戒機を運用し、またジプチ国際自治港にて補給中である二隻の護衛艦を訪問し、派遣隊員を激励したとのこと。日本から遠く離れた熱砂のジプチにて、厳しい任務にあたる隊員にとっては、多忙な時間を縫って直接、折木統合幕僚長自らが足を運び激励した、という事実。軍事機構とは制服を着た外交官と呼ばれるように任務以上に背負うものは非常に大きく、やりがいとともに重圧も思い。第一線で任務に当たる隊員には、想像できないほどの励みとなったのではないだろうか。

Img_1587  政治の立場から国政と外交政策、安全保障を担う“最高司令官”は、やれ、舞台を観劇したり御夫人と外食しただの、華やかな生活を送りつつも、安全保障、外交政策、制度論議、景気回復、通貨政策、環境問題、全てに明確な政策を提示出来ない中、しかも某与党幹事長が無責任にも御上を路傍の石が如く蔑にする発言を展開している目下の実情。政治の決定を第一線で担う同胞を、制服組の最高指揮官である統幕長が、自ら赴き、隊員を激励したということは、今日、数少ない心温まる一幕といえるのかもしれない。

Img_8362  なお、4月6日に護衛艦さざなみ、がジプチ国際自治港に入港した旨、朝雲新聞が報じているが、今回の折木統幕長が行ったジプチ港における派遣護衛艦二隻の訪問は、ジプチという、エリトリア、エチオピア、ソマリアに国境を接し、フランス外人部隊の准旅団が駐屯するジプチが、今日、アフリカ周辺における自衛隊の一大根拠地としての機能を有していることが見てとれるだろう。安倍内閣時代以来、アフリカ重視の外交政策を提示している日本の外交政策を重ね合わせて俯瞰すれば、このジプチの基地機能というものは、今後、更に大きなポテンシャルを有するようになるかもしれない。

Img_2260  他方で、ジプチにおける基地機能は、アメリカが横須賀や佐世保、厚木に有しているもののようなものではなく、こうした中で、厳しい第一線まで、三自衛隊の長たる統合幕僚長が自ら赴き、激励した、ということの意義が大きくなるわけだ。それにしても首相も観劇や外食ではなく、第一線の激励に足を運んでもいいのでは、と思ったりもするのだが、そこまで期待するのは酷、というものなのだろうか。(なお、本日掲載しました折木陸将の写真は、中部方面総監在任中の行事における写真を用いています)

Img_8170  ところで、一つ気になるのは、統幕長は、どのようにしてジプチへ赴いたのか、ということ。かつて、当時の西元徹也統幕議長は、陸上自衛隊のモザンビーク派遣任務に際して、六日間にわたる長期間、補給任務に向かう航空自衛隊のC-130H輸送機に同乗し、赤道、そしてアラビア海を越えて現地に向かっている。政府専用機としてボーイング747は運用されているものの、ビジネス機を除けば、高官輸送にあたる航空機は運用されていないのが現状である。ボーイング767や737クラスの要人輸送機増強は、検討されてしかるべきなのかな、とも思った次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
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