◆五合空けた後の思考整理
本日は十二月八日、日本海軍が1941年にハワイ諸島真珠湾の米太平洋艦隊を奇襲し、太平洋へ第二次大戦の戦火が拡大した記念日である。
戦争は異なった手段を以てする政治の延長である、とクラウゼヴィッツは戦争論に記したが、太平洋戦争開戦に伴う一連の日本国内の意思決定過程は、政治の失敗が戦争を招くということを端的に示したようにも見える次第。しかし、今日では誤った政治的決定さえなければ、合意の集約により、よいと評することのできる政治を行う道は残されているのだが・・・、という視点でちょっと愚痴。
ビスマルクは、賢者は歴史から学び愚者は経験からしか学ばない、という言葉を残しているが、国際公序や日米関係の重要性は歴史が示しているものであり、国内の連立や地域の要求などは、国際関係に照らし合わせればミクロとマクロで思考体系を切り替える必要のあるものだ。
どうも、今日、個々人の政治家が選挙の敗北や選挙を第一とした、敗北の記憶に左右され、物事の大局を見失っているのではないかという危惧を感じる次第。選挙対策を第一にしていることは、政権公約の確実な履行に繋がる事でもあるのだが、政権公約よりも重要なことはあるのではないか、と。
アメリカ独立宣言を起草し第三代大統領となったジェファーソンは、理性と自由な探求のみが唯一誤信を乗り越える、としている。理性とは、価値観の根底を為すものであり、向かうべき理想が同じであれば共有し得るものである。しかし、誤信は得てして自由な発想を阻害するものだ。
そして、誤信の存在さえ気づかず判断を行うことが大半である。慎重を期せば逆に陥る物事の機の喪失という危険もあるのだろうが、誤信はあり得るとした理念を持つ慎重さこそが重要である。例えば、政権公約の前提となったものの数値や定義、情報などに誤りが無いのかを検討することも重要なのではないか、と考える次第。
例えるならば、自らの政策を実現する財源について埋蔵金があると考える信念、沖縄以外に普天間飛行場の代替施設が構築できるという信念、公共事業を人材育成に置き換えることが将来に利するという信念、急激な為替変動に対しても極力介入しないという信念、消えた年金は調べればすぐにでも解決できるという信念、然り。
フランス復興の礎を築いたシャルル・ド・ゴールは、大統領として、核保有によってこそ安全保障はアメリカの核の傘に依存せず成り立つ、として核開発を成し遂げたが、核兵器が第二次大戦で日本に対し使用されたことを以て、人類は自らを破滅させうる手段を持つに至ったことに途轍もない絶望感に襲われた旨、回顧録に記している。
個人の信念とは異なる事であっても、職責を負ったからには、やらなくてはならないこともあることを端的に示している。普天間問題など、社会民主党としては、民主党と政権を連立する以上、譲れないものもあるのだろうが、個々人の信念と、職務を担う事で生じる責任、公私混同は避けなければならない。
ローマ帝国に対し徹底的に抵抗したカルタゴの知将ハンニバルは、いかなる超大国も長期にわたり安泰足り得ることは出来ない、何故ならば国外に敵を持たずとも国内に敵を持つようになる、鍛え上げた頑強な肉体もそうであるがゆえの内臓疾患に悩まされることと同じだ、と記している。これは、現在の連立与党が国内の選挙戦を経て政権交代を成し遂げた後とも重なる。
北大路機関